1日400人が従事、半分は市内出身

 錦海塩田跡地では、現在、1日約400人が建設工事に従事している。作業者の出身地は、51%が瀬戸内市内、36%がそのほかの岡山県内、13%が岡山県外となっている。セイタカアワダチソウなどが繁茂していた荒地が、すでに大きな雇用を生んでいる。

 瀬戸内市は、2004年に牛窓町、邑久町、長船町が合併してできた。海沿いの牛窓や邑久地域は、「日本のエーゲ海」とも称され、西日本最大級の規模を誇る「牛窓ヨットハーバー」や、2000本ものオリーブの茂る「牛窓オリーブ園」で知られる。

 小高い丘にあるオリーブ園からは、瀬戸内海に散らばる島々が一望できる。道の駅「一本松展望園」と同様、「瀬戸内Kirei太陽光発電所」の完成した暁には、整然と並んだ92万枚もの太陽光パネルが眺められる。

 広大な平地に作られたメガソーラーは全体を望める高台がなく、その大きさを実感できない場合が多い。また、山間に作られるメガソーラーは、設置エリアが複数に分散するため、広大さを印象づけるものにはならない。

 1つのエリアに230MWものパネルが並び、しかも全体を眺望できる高台が近くにあるケースは世界的にも珍しい。完成後は、新たな観光資源となり、交流人口の増加に貢献する可能性を秘めている。(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3

●設備の概要
名称瀬戸内Kirei太陽光発電所
発電事業者特定目的会社(SPC)「瀬戸内 Kirei 未来創り合同会社」(米GEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、くにうみアセットマネジメント、中電工が出資)
総事業費約1100億円
融資三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3行を幹事銀行とした28金融機関が参加したシンジケートローンによるプロジェクトファイナンス(約900億円)
住所岡山県瀬戸内市邑久町尻海4382-3外(錦海塩田跡地)
敷地面積約500haの塩田跡地のうち、約260haに発電設備を設置
土地所有者瀬戸内市
貸付料工事期間は年額1億円、売電開始後は年額4億円、地域振興に関する事業費16億円(総額101億円)
出力約230MW
着工日時2014年11月7日起工式
運転開始時期2019年
EPC(設計・調達・施工)東洋エンジニアリング、清水建設
O&M(運営・保守)中電工
太陽光パネル中国トリナ・ソーラー製、中国インリー・グリーンエナジー製(合計約92万枚)
パワーコンディショナー(PCS)米ゼネラル・エレクトリック(GE)製、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(合計約240台)
接続箱ABB製(約5000台)