積雪を想定して、太陽光パネル最低部の高さは、約1mとした。立地する地域の最大積雪量は約60cmで、これに対してより高く設定することによって、1回の積雪後に、太陽光パネル上から低部側の地面に滑り落ちた雪が溶けきらない状況で、次にまた60cmの積雪があっても、雪溜まりの上に積もった雪がパネル最低部までは届かず、パネル上の積雪量を最小限に抑えることを狙った。
2015年秋の稼働から、2回の冬を越えた中、雪溜まりの上に積もった雪が、パネル上に達したことは一度もなく、想定した運用になっているとしている。
太陽光パネルは、当初の計画よりも多く並べた。両メガソーラーともに、外周を囲うフェンス外の南側の土地に生えていた木の一部を伐採したことで、敷地内の南端近くの場所に影がかかりにくくなり、その場所へのパネル設置枚数を増やした(図6)。
このフェンス外の土地の一部は自社の所有地、一部は製紙関連企業の所有地で、この所有企業の協力を得て伐採した。伐採した木は、この製紙関連企業が引き取り、パルプとして活用した。
太陽光パネルの設置枚数の増加は軽微変更で認められている範囲に収まり、買取価格を変えずに済んだ。
発電設備では、太陽光パネルからPCSに入力するまでの直流回路の設置コスト、送電ロスを低減する工夫を施した。
太陽光パネルの直列接続数を24枚に増やしたストリングの構成によって、接続箱の設置台数、送電ケーブルの総延長を減らした。
この回路構成を実現するために、PCSは直流入力1000V対応機を採用した。連系出力が1.5MWの金ケ崎太陽光発電所では、容量750kW機を2台、連系出力が1MWの第2発電所では、容量500kW機を2台、設置した。
神奈川中央交通(乗合バス事業子会社を含む)は、「グリーン経営認証」を取得している。「グリーン経営認証」とは、交通エコロジー・モビリティ財団が認証機関となり、環境保全について一定レベル以上の取り組みを行っている事業者に対し認証を登録している。
例えば、「エコドライブ推進運動」を実施するとともに、早くからアイドリングストップバスを導入し、2016年度末には2001両(神奈川中央交通)となり、全車両の99%を占めている。また、「燃料消費量削減運動」を推進し、「15秒以上の停車でアイドリングストップの実行」「ターミナル、折り返し場での待機中はエンジン停止の励行」などの重点実施事項を掲げ、燃料使用量節減に向けた取り組みを実施している。
発電所名 | 神奈中岩手県金ケ崎太陽光発電所 |
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所在地 | 岩手県胆沢郡金ケ崎町三ヶ尻東浦 |
フェンス内面積 | 約2万9000m2(約8770坪) |
太陽光パネル出力 | 約1.934MW |
連系出力(PCS出力) | 1.5MW |
年間発電量 | 約187万kWh(一般家庭約520世帯分の消費電力に相当) |
発電事業者 | 神奈川中央交通 |
EPC(設計・調達・施工)サービス事業者 | 東芝プラントシステム |
太陽光パネル | 東芝製(出力260W/枚、7440枚) |
パワーコンディショナー(PCS) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(容量750kW・直流入力電圧1000V機、2台) |
売電価格 | 36円/kWh(税抜き) |
売電開始 | 2015年8月10日 |
売電先 | 東北電力 |
発電所名 | 神奈中岩手県金ケ崎第2太陽光発電所 |
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所在地 | 岩手県胆沢郡金ケ崎町六原森合 |
フェンス内面積 | 約1万8000m2(約5450坪) |
太陽光パネル出力 | 約1.248MW |
連系出力(PCS出力) | 1.0MW |
年間発電量 | 約115万kWh(一般家庭約320世帯分の消費電力に相当) |
発電事業者 | 神奈川中央交通 |
EPCサービス事業者 | 東芝プラントシステム |
太陽光パネル | 東芝製(出力260W/枚、4800枚) |
PCS | TMEIC製(容量500kW・直流入力電圧1000V機、2台) |
売電価格 | 36円/kWh(税抜き) |
売電開始 | 2015年9月18日 |
売電先 | 東北電力 |