72セルの大型パネルを採用

 農地を利用して「ソーラーシェアリング」を行う場合、架台の支柱を地面に固定する基礎部分の農地を一時転用し、3年ごとに更新するという仕組みが制度化されている。ただし、発電設備の影による「作物の収量減が20%以内であること」などが、3年ごとの更新が認められる条件になっている。

 通常の太陽光発電所に比べ、面積当たりのパネルの設置枚数を減らして、地面に届く日射量を増やして遮光率を3割程度に抑えつつ、比較的、影にも強い作物を植える必要がある。加えて、架台の支柱を高くし、間隔を広めにするなど、パネル下での農作業に配慮して設計する。

 現在、国内で建設されているソーラーシェアリング向けの設備設計には、大きく2つのタイプがある。農地の上に等間隔で架台を組み、藤棚のように太陽光パネルを一定の間隔で固定する方式(関連記事1)。もう1つが、アレイ(複数パネルの設置単位)を可動式架台に固定し、太陽の動きを追いつつ設置角を変える追尾式架台システムだ(関連記事2)。

 「新潟鈴木ファーム太陽光発電所」は、前者の「藤棚式」の1つだが、これまで国内の藤棚式ソーラーシェアリングが、20~40セル/枚程度の細長い小型パネルを採用していたのに対し、72セル/枚の一般的な大型パネルを採用したのが特徴だ(図3)。

図3●72セル/枚の大型パネルを採用した
図3●72セル/枚の大型パネルを採用した
(出所:日経BP)
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