東京都心から約50km、JR久喜駅からクルマで20分ほど、物流倉庫が立ち並ぶ地域を抜けると、ひときわ高くそびえ立つ塔が視界に現れる(図1)。見えてからもなかなかクルマは近づかない。

図1●菖蒲久喜ラジオ放送所のアンテナ。下にあるのが太陽光パネル
図1●菖蒲久喜ラジオ放送所のアンテナ。下にあるのが太陽光パネル
(出所:日経BP)
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 NHK(日本放送協会)が埼玉県久喜市菖蒲町に建設した日本最大のAMラジオ放送所「菖蒲久喜ラジオ放送所」のアンテナである。周波数594Hzの第1放送用のアンテナは245m、周波数693Hzの第2放送用のアンテナは215mに達し、これも日本で最も高いアンテナだ。出力は第1放送が300kW、第2放送が500kWである。

 東京渋谷にある放送センターから2系統の無線通信で送られてきた番組は、このアンテナから関東甲信越を中心に全国総世帯の約4割に相当する約2000万世帯に中波として送っている。