佐賀県唐津市の山あいで、出力約21MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「佐賀相知太陽光発電所」の施工が進んでいる(図1)。

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図1●施工中の「佐賀相知太陽光発電所」
図1●施工中の「佐賀相知太陽光発電所」
出力は約21MWで、佐賀県で最大規模のメガソーラー(出所:日経BP)
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 佐賀県で最大規模のメガソーラーとなる。

 敷地面積約32万m2の土地を活用し、九電工と伊藤忠商事による特定目的会社(SPC)、佐賀相知ソーラー(唐津市相知町)が開発している。同SPCは、両社の折半出資により設立した。

 九電工は、太陽光発電所のEPC(設計・調達・施工)やO&M(運用・保守)のサービスを提供しているほか、EPCやO&Mの受注を前提に、発電事業に加わることもある(関連インタビュー1同インタビュー2)。

 発電プロジェクトに参画している主な案件として、鹿児島県鹿屋市の出力約92MW(関連ニュース1)、鹿児島市の約70MW(関連コラム1同コラム2)、同県枕崎市の約8.2MW(関連コラム3同コラム4)、大分市の約45MW(関連ニュース2)、福島県相馬市の約52.5MW(関連ニュース3)など、大規模なものが多い。

 事業化に向けた検討が進んでいる、長崎県佐世保市宇久島の出力約430MWのプロジェクトにも参画している。

 枕崎市の発電所を共同で開発したオリックスとは、九電工の子会社だったキューコーリース(福岡市中央区)をオリックスが買収した(現在の出資比率はオリックスが85%、九電工が15%)ことなどを機に、複数案件を共同で開発・運営している。

 熊本県宇城市の出力約11MW(関連ニュース3)、鹿児島県鹿屋市の約8MW(同ニュース4)、熊本県球磨郡の約2.5MW(同ニュース5)、千葉県富津市の約2.8MW(同ニュース6)などが、両社による共同開発案件となっている。

 このほか、九電工・佐賀支店が独自に開発・運用している小規模のメガソーラーもある(関連コラム5)。

 唐津市で建設している約21MWのメガソーラーも、佐賀支店による検討が開発の発端となった。規模が大きいことから、大分市の案件で連携した伊藤忠商事に打診し、共同開発することが決まった。

 主に、伊藤忠商事が資金調達やアセットマネジメント、九電工が技術面を担う。EPCとO&Mは、九電工が担当する。

 山中にある土地のため、本格的な造成・伐採が必要になる。売電価格、日射量、連系に要する費用など、さまざまな点を考慮して、本格的な造成をする場所でも目標とするIRR(内部収益率)を満たせるのかどうかを検討していく。その中で、九電工のような施工会社が加わっている場合、施工面で多少の「無理が利く」点が大きいとしている。

 例えば、何らかの事情で着工が遅れたり、工事の進捗が遅れたりといった課題に直面しても、作業者を増やすなど自社内の対応で遅れを取り戻せる。

 連系については、この規模にしては比較的、工事費負担金が少なくて済んだという。

 売電価格は36円/kWh(税抜き)で、稼働後は九州電力に売電する。2016年1月5日に着工し、2018年4月初旬に運転開始を予定している。

 事業費の大部分は、福岡銀行による融資を活用している。

 太陽光パネルは、ハンファQセルズ製を採用し、出力280W/枚を7万5144枚並べる。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用し、出力750kW・直流入力1000V対応機を22台、設置する。

 パネル出力の21.04032MWに対して、連系出力(PCSの定格出力)は16.5MWとなる。