高温多湿・斜面での施工の身体的な負担

 山中を南から北に下っている場所のため、太陽光パネルは北に下っていくように並ぶことになる(図7)。

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図7●太陽光パネルは北に下るように並ぶ
図7●太陽光パネルは北に下るように並ぶ
平地よりも影を考慮して間隔を広くとる必要がある(出所:日経BP)
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 これによって、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の前後の間隔を、通常の平地よりも広くとる必要がある。前列のパネル高部から、後列のパネル低部にかかる影が、通常よりも長くなるためである。この影を考慮した間隔とした。

 基礎や架台、太陽光パネルの設置作業は、夏にかけて実施されている(図8)。九州の各地域と同じように、唐津の施工現場も高温多湿の環境にある。中でも、今年は例年よりも暑さが厳しい状況が続いているという。

図8●テントは暑さ対策の一つ
図8●テントは暑さ対策の一つ
高温多湿時の斜面における作業の身体的な負担に留意(出所:日経BP)
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 斜面における作業のため、作業中の身体的な負担は、さらに増す。こうした環境における施工のため、従事者の体調管理には、通常以上に念入りに配慮しているという。

 塩分や水分を頻繁に補給し、十分な休憩をとるように促しているという。太陽光発電所の施工現場には、日陰はないので、一定の間隔でテントを設け、そこにクーラーボックスも配置することで、日陰と冷たい飲み物を確保できるようにしている。

 造成の遅れを取り戻すため、現在は計画より多い約100人が作業している。

 毎朝、全員の体調を把握するようにし、顔色が悪いなど健康に不安のある従事者は、帰宅させているという。無理に施工を続けて、万が一、現場で倒れた場合、従事者の健康を害するだけでなく、さらなる施工の遅れを招いてしまいかねないためである。

●発電所の概要
発電所名佐賀相知太陽光発電所
所在地 佐賀県唐津市相知町押川773番1ほか
敷地面積約32万m2
発電事業者佐賀相知ソーラー(出資比率:九電工 50%、伊藤忠商事 50%)
太陽光パネル出力21.04032MW
連系出力16.5MW・66kV
年間発電量2386万3147kWh(一般家庭約4223世帯分の消費電力に相当)
施工費非公開
融資元福岡銀行
EPC(設計・調達・施工)サービス九電工
O&M(運用・保守)九電工
アセットマネジメント伊藤忠商事
太陽光パネルハンファQセルズ製(出力280W/枚、7万5144枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出力750kW・直流入力1000V対応機、22台)
着工2016年1月5日
運転開始予定2018年4月
売電価格36円/kWh(税抜き)
売電先九州電力