地滑りの兆候をアラーム

 「大津ソーラーウエイ」は、埋め立て・覆土で相対的に地盤が軟弱なうえ、斜面に沿って段状になっているため、大雨などによって地盤が動くリスクもある。そこで、敷地内に13台のGPS受信器を設置して地盤の挙動をリアルタイムで監視することにした(図7)。

図7●法面監視支援サービス「Shamen‐net」の仕組み
図7●法面監視支援サービス「Shamen‐net」の仕組み
(出所:国際航業)
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 パネルを設置した4段の各面に3台のGPS受信器を配置し、4段全体を見渡せる斜面の法肩付近にもう1台を設置した。パネル設置面の12台を観測局、法面上の1台を基準局として、それぞれが観測衛星とやりとりして位置情報を測り、観測局と基準局との距離を算出して、その長さの変化をリアルタイムで割り出している。

 稼働して以降の測定では、1年間で3㎜程度、全体的にゆっくりと変位しているという。雨量との相関はみられない。「こうしたタイプの変位は想定の範囲で、問題はない」と、国際航業 エネルギー事業推進部 企画開発グループの白川紳吾氏は言う。例えば、短時間で部分的に大きく変位するような挙動が地滑りの兆候という。

 そこで大津市のサイトでは、5日間で10㎜以上、変位した場合にアラームを発するように設定しているという。これまでのところ、1度もこうした挙動はないという。

 国際航業が処分場太陽光に、「Shamen‐net」を導入したのは、「大津ソーラーウエイ」が初めて。発電事業の事業性を考えると1000万円前後の導入コストが課題になるという。今回は、「処分場太陽光に対する環境省の補助金(約2000万円)を活用できたことから、実証的な意味合いも兼ねて、導入に踏み入った」(白川氏)という。