単管パイプ架台の設計をサポート

 とはいえ、架台の設計に関しては、積雪荷重を考慮して、「杭基礎の間隔を約1mにして本数を増やした。九州地方の太陽光発電所に比べると、パネル当たりで倍近い」と、SEエナジーの江口康人部長は言う。

 同発電所では、産業用金物の大手メーカーであるタキゲン製造(東京都品川区)の杭基礎用パイプとパイプ架台、太陽光パネルの取付金具を採用した。単管パイプを使った基礎・架台は、低圧太陽光の案件で多く使われ、突風で崩壊した事例が報道されるなど、強度に劣るイメージがある。この点に関し、江口部長は、「タキゲン製のパイプ架台は、そうしたトラブルのあったものとはまったく違う。安いから採用したわけではない」と強調する。

 タキゲン製造は、電気設備の筐体に取り付けるハンドルや取手の製造・販売から創業し、鍵や鍵穴、戸車(ローラー)など、産業用の多種多様な金具を製造している。金物の設計・製造のノウハウを生かした新分野の商品開発にも熱心で、太陽光向け架台もその1つ。

 「施工の大変なコンクリートの置き基礎と特注の架台でなくても、一般的な直径48.6㎜の単管パイプを使って、強度と耐久性のある基礎・架台が作れないか」というニーズに応えて、単管パイプと太陽光パネルを容易に取り付けられる金具を開発した(図4)(図5)。

図4●タキゲン製造の開発した太陽光パネルの取付金具「パイプキャッチ」
図4●タキゲン製造の開発した太陽光パネルの取付金具「パイプキャッチ」
(出所:タキゲン製造)
図5●あらかじめパネルにボルトで固定しておき、ワンタッチで着脱する
図5●あらかじめパネルにボルトで固定しておき、ワンタッチで着脱する
(出所:タキゲン製造)
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 タキゲン製造では、自社製の取付金具のほか、杭用や架台用のパイプなど単管パイプによる太陽光架台の建設に必要な部材や部品をトータルで扱うと共に、地面に打ち込んだパイプの引き抜き強度の試験や、架台の強度設計まで、サポートしている。

 SEエナジーの「函館市女那川町太陽光発電所」でも、こうしたタキゲン製造の基礎・架台の設計方針に従って、建設したものだ。