「ミドルソーラーは狙い目」

 「函館市女那川町太陽光発電所」の約500kWという出力規模は、いわゆる「ミドルソーラー」と呼ばれる。固定価格買取制度(FIT)によって、国内に急増した太陽光発電設備のなかでも、この規模の発電所は珍しい。

 国内の太陽光発電所の区分は、出力50kW未満が低圧配電線への連系、50kW以上2MW未満が高圧配電線への連系、2MW以上が特別高圧送電線への連系となる。そこで、連係設備の導入コストを考慮した投資効率を考慮し、連系容量は50kWと2MWを少し下回る連系出力が多くなっている。

 例えば、「49kWの低圧太陽光」「1.9MWの高圧太陽光」などがそうで、2MW以上では「10MW以上の特高案件」という出力規模に集中している。数百kW~1MW程度というミドルソーラーは、投資効率の視点から避けられることが多いのが実体だ。

 一般的に1MWの太陽光パネルを並べるには約2haの用地が必要になる。従って、2MW弱の高圧太陽光を建設するには4ha程度の用地が必要で、「1ha程度は中途半端」になる。

 しかし、SEエナジーは逆に、「大手資本の太陽光デベロッパーが手掛けないミドルソーラーはむしろ狙い目」という。「発電量に比べ、高圧連系のコストが負担になるものの、その分、造成費用などを低減できれば、十分に事業性を確保できる」という。実際、同社の開発・運営している太陽光発電所の半分以上は、500kW~1MW程度の案件が占めている。

 函館市女那川町の案件もその1つだ。「約1haの事業用地での太陽光発電事業」という函館市の公募にあえて応募したのも、元々グラウンドだったため、ほとんど造成が不要と判断したからだ。実際、「バックネットを撤去したほか、草刈りをした程度で、造成せずに済んだ」という。

 また、函館市の案件の場合、「土地の測量を主導的に行ってくれるなど、市役所がたいへん協力的だったことも、スムーズな発電事業の立ち上げにつながった」という。加えて、設置角を20度に抑え、パネル設置量を少しでも増やして事業性を最大限に高めた(図3)。

図3●北国ながらパネルは設置角を20度に抑えた
図3●北国ながらパネルは設置角を20度に抑えた
(出所:SEエナジー)
[画像のクリックで拡大表示]