「単管パイプ架台=粗悪」は誤解

 ただ、単管パイプ架台を採用したことによると思われる「予想外のトラブル」があった。周囲の住民から、「太陽光発電所が完成して以来、ラジオの音声にノイズが入るようになった」との苦情があったことだ。

 まず、PCSに由来するものと考えて調査したが、対策済みでPCSが原因でないことが分かった。そこで、さまざまな観点から調べたところ、「多くの単管パイプを複雑に組み上げているために、ラジオの電波が乱反射し、それがノイズになっている可能性が高い」と分析されたという。

 ただ、このトラブルに関しては、こうしたノイズを防止する機能を持ったラジオがすでに製品化されていたため、対策済みラジオを提供することで、理解を得られたという。

 これまでのところ、架台自体に関して、強度上の不具合などはないという。SEエナジーの江口部長は、「強度計算の不十分な単管パイプ製架台でトラブルが目につき、パイプ製架台のイメージが悪化してしまったが、適切な強度計算を基に設計・施工していれば、海外製の粗悪な専用架台に比べればむしろ信頼性は高い」とみている。

 タキゲン製造でも、「強度計算の知識がないまま、見よう見まねで単管パイプ架台を組み上げている業者もおり、強風などでトラブルが起きているのではないか。他に先駆けてパイプ架台を提案してきた企業として、単管パイプ=粗悪という誤解をなくしていきたい」(情報開発部広報課・中西康晴課長)としている。

 同社では、施工が容易で撤去しやすい単管パイプ架台の利点を引き続き強調するとともに、FIT改正によって、小規模な太陽光発電所にも、フェンスの設置が義務付けられたことに対応し、杭基礎によるフェンスも提案している(図7)。

図7●杭基礎によるフェンスも提案
図7●杭基礎によるフェンスも提案
(出所:タキゲン製造)
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●設備の概要
発電所名函館市女那川町太陽光発電所
住所北海道函館市女那川市176(旧・北海道函館恵山高等学校・グランド跡地)
開発・運営事業者SEエナジー(東京都品川区)
土地所有者函館市
設置面積3036坪(約1ha)
出力513.5kW
年間予想発電量約57万7000kWh(約154世帯分)
EPC(設計・調達・施工)サービス日本ライフサポート(北九州市)
O&M(運用・保守)SEエナジー
太陽光パネル独ギャラクシーエナジー(2054枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
基礎・架台タキゲン製造
買取価格36円/kWh
総事業費約2億円
着工月2015年11月
売電開始月2016年3月