バンク逆潮流対策で連系まで長期化した案件も

 いずれの案件も、オリックスの太陽光発電所の開発や、リース、不動産開発など他の事業で取引や協力関係にある企業の所有地に設置した。

 このような背景から、山口市のサイトは「OC 吉永資材太陽光発電所」、周南市のサイトは「OC 日新製鋼奈切土地太陽光発電所」と、発電所の名に地権者名を冠する案件もある。これらは、吉永資材(山口市)の採石場跡、日新製鋼の工場の敷地内に立地する。

 この日新製鋼の工場内と、岩国市のメガソーラーは、連系までに長い期間を要した。配電線に連系する太陽光発電所が増え、変電所から上流の送電線に電気を流すバンク逆潮流が必要となり、中国電力側の工事に期間を要したためである。

 玉野市、三豊市、岩国市の発電所では、太陽光パネルは東芝製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 山口市の発電所では、太陽光パネルは京セラ製、周南市の発電所はハンファソーラーワン製を採用した。この2カ所では、PCSはドイツSMAソーラーテクノロジー製の分散型を採用した。

 オリックスが開発に関わるメガソーラーで、分散型のPCSを採用したのは、これが初めてとしている。出力25kW・直流入力1000V対応機を導入した。

 中電工では、分散型には、これまでの集中型と比べて、利点と不利になる点の両方があると見ている。稼働の状況やメンテナンスの効率も含めて、今後、実際の運用を通じて検証していくことになりそうだ。

5カ所を一つに束ねてプロジェクトファイナンス

 OCソーラーによる太陽光発電所の開発は、運営している5カ所・6発電所の合計出力約13.6MWですべてが稼働し、現時点で開発中の案件はないという。

 この5カ所・6発電所の合計出力約13.6MWを一つにまとめ、匿名組合出資の手法でプロジェクトファイナンスを組成し、事業費の多くを賄った。こうした資金調達やアセットマネジメントは、オリックスの強みが生きる分野としている。

 今後、新たに認定を取得してメガソーラーを開発する予定は、現時点ではないという。ただ、認定を取得済みで事業性の良好な案件を他社から取得し、開発を引き継ぐ可能性はあるとしている。

 OCソーラーでは、設立後の時点で、「合計出力30MW程度の太陽光発電所の事業化を目指す」と発表していた(関連ニュース5)。

 稼働済みのメガソーラーのほかにも開発を計画しており、それらを含めてこの目標を掲げていたものの、その後、電力会社から提示された工事費負担金が予想以上に高かったり、地権者との交渉が不調といった理由により、開発を断念した案件があったようだ。