地盤沈下、水の溜まりやすさへの対策

 玉野市のメガソーラー(図3)では、太陽光発電システムの設置に際して、塩田跡地ならではの工夫が必要だった。

図3●奥に見える海岸の堤防よりも低い
図3●奥に見える海岸の堤防よりも低い
雨水も溜まりやすく、抜けにくい(出所:日経BP)
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 塩田では、さまざまな方法で塩が製造されるが、基本的に海水から水分を蒸発させることで塩を造る。このため、潮が満ちてくると、海水が入ってきやすいような、海抜高度の低い場所が望ましい。

 このため、満潮時の最高潮位よりも低い場所が、塩田として使われたことが多い。玉野市東野崎のメガソーラーの土地も、こうした場所にある。

 低い場所にあることから、雨が多く降ると、水が溜まりやすい。その上、水はけが悪いので、溜まった雨水が抜けにくい。しかも、土壌が軟弱なため、地盤沈下の恐れもある。

 そこで、ナイカイ塩業グループでは、全面的に土壌を改良し、一定の対策を施した上でOCソーラーに土地を貸した。

 敷地内には、地盤沈下の度合いを把握するための設備が設置されている(図4)。

図4●地盤沈下を定期的に点検
図4●地盤沈下を定期的に点検
木の柱につけた目印を使う(出所:日経BP)
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 また、PCSや昇圧変圧器(キュービクル)、接続箱といった電気設備は、海岸の最高潮位よりも高い位置に設置している(図5)。

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図5●PCSや接続箱などを高い位置に設置
図5●PCSや接続箱などを高い位置に設置
PCSや昇圧変圧器を支えるコンクリート基礎を高くし(上)、接続箱や気象センサー用ボックスは架台の高い位置に設置(下)(出所:日経BP)
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 PCSや昇圧変圧器をのせるコンクリート基礎は、比較的高く築かれている。接続箱や気象センサーのデータ管理箱は、太陽光パネルの最高部近くで、架台の柱に設置されている。

 基礎は、コンクリートの置き基礎を採用した。雨が降ると、一時的に基礎の一部は水に浸かることがある(図6)。こうした環境でも、長期信頼性を維持できる基礎として選択した。

図6●雨水がパネルの設置区域に溜まることも
図6●雨水がパネルの設置区域に溜まることも
コンクリート基礎の一部が浸かっている(出所:日経BP)
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●発電所の概要
発電所名OC東野崎太陽光発電所
所在地 岡山県玉野市東野崎12-9ほか
敷地面積5万4464m2
土地所有者ナイカイ塩業(岡山県倉敷市)
発電事業者OCソーラー(東京都千代田区:オリックスと中電工による合弁)
太陽光パネル出力4.669MW(エリア1:2.310MW、エリア2:2.359MW)
パワーコンディショナー(PCS)出力3.980MW(エリア1:1.990MW、エリア2:1.990MW)
年間発電量初年度:558万kWh(一般家庭約1550世帯分の消費電力に相当)
設計・施工中電工
調達オリックス
O&M(運用・保守)オリックス・ファシリティーズ(京都市下京区)
太陽光パネル東芝製(1万8676枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
着工2015年5月7日
運転開始日2016年3月25日
売電価格36円/kWh(税抜き)
売電先中国電力