「林発」制度が求める森林と調整池

 丘陵の林間を上り、同ソーラーパークの敷地に入ると、まず目に付くのは、太陽光パネルではなく、コンクリートで固められた約2万m3もの巨大な調整池だ。池の中央には、放水量を調節するための雨水オリフィス(孔口)枡が据え付けられている(図4)。

図4●発電所に入ると約2万m<sup>3</sup>の巨大な調整池が目に入る
図4●発電所に入ると約2万m3の巨大な調整池が目に入る
(出所:日経BP)
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 これらの大規模な調整池は、森林法に基づく林地開発許可制度に対応し、鹿児島県森づくり推進課の指導を経て設計したものだ。開発着手から完成まで約5年を費やしたのは、同制度に対応するため、慎重に設計を進めたという面が大きいという。

 同制度は、森林開発による災害や水害を防ぎ、水や環境を守ることを目的とする。1ha以上の開発行為が対象となる。具体的には、一定割合の森林を残すことに加え、土木工事に伴う法面の勾配、排水施設、調整池などに関して技術基準が定められている。

 太陽光発電所も1ha以上の規模であれば対象となり、残置森林の割合(森林率)は25%以上が求められる。森林率は、開発目的に応じて定められており、スキー場は60%以上、ゴルフ場は50%以上。太陽光発電所は、「工場・事業場」の25%以上が適用される。