バスを出し入れする中、どのように施工したのか

 駐車場内での建設工事は、路線バスの運行に休日がないため、常に車両を出し入れする中での施工になる(図7)。

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図7●バスの出入庫を妨げないようにしながら施工
図7●バスの出入庫を妨げないようにしながら施工
上の2枚は、四日市営業所における施工時。下の4枚は、中勢営業所における施工中の様子。取材時にも常にバスが出入りしていた。高所作業車を多く使って施工する(出所:上の2枚は三重交通、下の4枚は日経BP)
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 このため、それぞれの営業所では、バスの入出庫を妨げないように配慮しながら、5~6カ月間という比較的、長い期間をかけて施工している。2017年4月に着工した中勢営業所では9月、6月に着工した伊賀営業所では11月に売電を開始する。

 屋根は、1カ所・44台分ずつ、順に作っていく。その間、施工している場所に、バスは駐車できない。

 そこで、営業所内の未利用区域を仮の駐車スペースにしたり、近隣の空き地も借りて仮の駐車場として活用している。誘導員も配置する必要がある。

 完成後の四日市営業所内の路面には、黒く塗りつぶした直線や斜線の跡が残っている(図8)。施工の進捗に合わせて、バスの仮駐車スペースを変えていった名残りである。

図8●黒く塗りつぶした直線や斜線の跡
図8●黒く塗りつぶした直線や斜線の跡
施工の進捗に合わせ、数度にわたってバスの仮駐車スペースを変えていった(出所:日経BP)
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 バスの運用面でも、施工の効率面からも、屋根が部分的にでも完成して安全が確保され次第、少しでも早くその下にバスを駐車したいところである。

 しかし、今回の太陽光パネル付きの屋根は、一般的な地上設置型の架台とは異なり、建築基準法上の「建築物」となる。消火用設備なども備える必要がある(図9)。

図9●消火用の設備なども備える
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図9●消火用の設備なども備える
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図9●消火用の設備なども備える
建築基準法上の「建築物」となる(出所:日経BP)

 このため、竣工前に、完成した部分から駐車場として運用するには、地方自治体から仮使用の承認を受ける必要があるなど、通常の太陽光発電設備にはない苦労もあった。