北向きの斜面にもパネルを配置

 「アローレイクカンツリー倶楽部」の正面ゲートからクラブハウスに進むと背後に駐車場があり、ハウスの東側に鮮やかな芝生が一望できる。だが、周囲に太陽光パネルはまったく見当たらない。駐車場を出て、ゴルフ場に沿ったフェンスの側道を東にクルマで数分走っていくと、緩やかな丘陵に巧みに配置されたにパネル群が忽然と現れる。

 「周囲に主要道がないので、出力13MWもの大規模な発電施設にも関わらず、周辺からほとんど目に付かない」。矢吹太陽光発電所の電気主任技術者を務める古川繁夫さんは、こう話す。もともと9ホールは、南北方向に細長く、所々に残置林を挟みながら、東西に並んでいた。まったく造成せず、概ね各ホールを1つのエリアとして、パネルを敷き詰めた。

図2●太陽光パネルはREC社、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出所:日経BP)
図2●太陽光パネルはREC社、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出所:日経BP)
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図3●フェアウエイの起伏を残したため、アレイ列の中央がくぼんでいる(出所:日経BP)
図3●フェアウエイの起伏を残したため、アレイ列の中央がくぼんでいる(出所:日経BP)
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 太陽光パネルは、ノルウエーに本社を置く大手太陽光パネルメーカー、REC社の多結晶シリコン型(260W/枚)を採用した。パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を設置した(図2)。

 コース全体は必ずしも南向き斜面でなく、緩やかな北向き斜面も多いが、そこにもパネルを敷き詰めた。結果的に、東西方向の短いアレイ(パネルの設置単位)の列が、南北に幾重にも並ぶ形になった。ゴルフコースのフェアウエイは中央付近を底にくぼんでいることが多い。その起伏を残し、土地なりにパネルを敷いたため、アレイの列も中央がへこんでおり、「く」の字形のように見えるエリアが多い(図3)。

 直接、発電所の設計に関与しなかった古川さんは、「北向き斜面もあるし、これだけ起伏のある土地に、うまくパネルを敷いていることに感心する」と言う。「運転開始から約1年たつが、大きなトラブルもなく、発電量は毎月、予想を上回っている」と話す。