半割パイプでパネル上の雨水を集める

 加えて、同発電所で、すぐに目に付く特徴は、アレイ(パネルの設置単位)低部の直下に半割パイプを埋設していること。パネルに降った雨は、半割パイプの上に流れ落ち、パイプを通って側溝に流れ込むようになっている(図4)(図5)。

図4●半割パイプでパネルからの雨水を受ける
図4●半割パイプでパネルからの雨水を受ける
(出所:日経BP)
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図5●半割パイプに落ちた雨水は側溝に流れる
図5●半割パイプに落ちた雨水は側溝に流れる
(出所:日経BP)
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 こうした構造にしたのは、処分場を管理する新潟県環境保全事業団からの要望だった。既述したように、処分場では、埋め立て終了後も、覆土を浸透して埋設廃棄物まで達した雨水を浄化している。地中に浸透せず、側溝から流れた雨水は浄化する必要はない。

 従って、半割パイプでパネルに降った雨水を集めて側溝に流し、覆土下の地中に浸透する雨水が減れば、維持管理コストが下る。同事業団が、パネルに降った雨の集水をリクエストしたのは、こうした背景があった。

 要望を受け、国際航業では当初、「アレイ下に雨どいを取り付けることも検討した。だが、冬季に雪がパネルから滑り落ちる際に、雨といが破損する恐れが大きく、断念した」(小林チームリーダー)という。

 日本海側に面する出雲崎町では、一冬の最大積雪深が約1mに達する。メガソーラーの設置には、積雪対策にも十分に手を打っておく必要があった。半割パイプによる雨の集水は、雪対策とも両立できる。

 半割パイプを排水溝に使う場合、その埋設・固定と、運用後には土砂の堆積などが課題になる。今回は、溝を掘ってアンカーで鋲止めした。「稼働後、約1年経ち、地盤にパイプが馴染んで安定してきた。土砂の堆積もほとんどなく、パネルからの落下水をうまく排水できている」(小林チームリーダー)。