前回、紹介した千葉県東金市にある出力約2.6MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「エクシオ東金ソーラーファーム」では、雑草対策用の被覆植物(カバープランツ)として、多年草「ダイカンドラ」を導入した(図1)。

図1●ダイカンドラマットを導入した東金市のメガソーラー
図1●ダイカンドラマットを導入した東金市のメガソーラー
協和エクシオが開発・運営する出力約2.6MW(出所:グラウンドエコロジー)
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 ダイカンドラは、南米産の多年草で、草丈が比較的低く、茎が地表をはうように伸び、小さな丸い葉が密に付いて地面を覆う。冬になると、地表に伸びた部分は夏芝のように枯れるものの、地中に根付いていれば、春になると再度、地表に伸び始める。

 これによって、他の雑草の発芽を抑えたり、生育しにくくなる。ダイカンドラの間から雑草が伸びてくることもあるが、それほど多くはないので、気付いた時に手で抜く程度ですむという。

 雑草対策のほか、地表を緑が覆うことで、夏の暑い時期には、太陽光パネルの裏面の温度上昇を抑える効果も期待できるようだ。結晶シリコン型のパネルは、温度が一定以上に上昇すると変換効率が下がる特性がある。温度上昇を抑えることで、夏季の発電量の増大が期待できる。

 発電事業者の協和エクシオは、O&M(運用・保守)のうち、雑草対策について、グラウンドエコロジー(千葉県八街市)に委託し、ダイカンドラを導入した。

 グラウンドエコロジーは、太陽光発電所の開発・販売事業者であるグラウンドエナジー(千葉県八街市)のグループ会社である。ダイカンドラを栽培・出荷している。張芝のようにマット状にして太陽光発電所に施工し、管理まで手掛けている。

 すでに約20カ所の太陽光発電所に提供した実績があるという(図2)。その中でも、千葉県東金市の出力約2.6MWが最大規模となっている。

図2●他の太陽光発電所における導入例
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図2●他の太陽光発電所における導入例
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図2●他の太陽光発電所における導入例
うまく根付き、地表を密に覆っているのがわかる。千葉県八街市の太陽光発電所で撮影(出所:日経BP)

 グラウンドエコロジーが提供しているダイカンドラは、ウルグアイ原産のもので、草丈は約5cmまで伸びる。耐陰性に優れ、太陽光パネルの下部の日常的に日陰となる場所でも成長するとしている。

 毎年6月ころになると、小さな花が咲いて種子が実る。その種が地面に落ち、その一部が伸びることで、さらに茎と葉が密になっていく。

 ただし、日本とは気候の異なる南米原産のため、耐寒性に課題があり、霜や雪には弱いという。この制約から、納入した最北の太陽光発電所は、宇都宮市近辺となっている。