冬期の発電量が1.5倍に

 設置角やアレイ(パネルの設置単位)構成は、すべて最初の設計と同じにした。太陽光パネルは建設時には、京セラ製多結晶シリコン型の最大公称出力242W/枚の製品を設置したが、増設では同じシリーズの後継品が同245W/枚となった。

 集電箱を新規に増設し、既存のPCSに繋ぎこんだ。設定の変更は、TMEICの技術者がほぼ1日かけて完了したという(図4)。

図4●パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
図4●パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(出所:日経BP)
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 1.5倍の過積載への増設によって、年間で最も出力の出る春期にはピーク時の出力にロスが出る場合あるものの、朝夕の発電量が確実に底上げされる。また、「もともと最大出力の出にくい冬期の発電量に関しては、ほぼ1.5倍になっている」(林建設・ソーラー事業部の山下剛部長)という。

 こうした稼働後の太陽光パネルの増設に関して、現在は、「軽微変更」として稼働時の買取価格が適用される。このため、増設分に関しては、FITの買取期間は、短くなるものの、投資効率が高まることが多い。

 ただ、経済産業省は、ルール変更を検討している。「過積載」自体は問題ないものの、FIT初期の、高い買取価格を維持したまま、現在の安くなったパネルを設置した場合、買取価格を算定した当時に想定したシステムコストより安価な設備を調達できるため、国民負担との関係で問題があるとしている(関連記事)。