曇天時には水平にして散乱光を集める

 通常、太陽と正対する2軸式の全追尾型架台は、太陽光アレイごとに2つのモーターで制御する。イーマックスSPの場合、約50kW分のパネルを2つのモーターで動かす。1つはベース架台の回転用、もう1つは設置角の制御用だ(図7)。

図7●約2分間隔で角度の向きを制御
図7●約2分間隔で角度の向きを制御
(出所:日経BP)
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 このため従来の2軸式追尾型架台に比べ、構造がシンプルになり、初期投資や保守費用が低減できたという。エルムでは、「一般的な固定式に比べ、約1.2倍のコストに抑えつつ、約1.3~1.5倍の発電量を期待できる」としている。

 太陽の追尾のほか、台風などの強風時にはパネルを水平にして、風の抵抗を低減するほか、曇天時にも水平にして日光の散乱光を効率的に集めることで、発電量を増やすという運用も行っている。

 林建設では、「追尾式架台の敷地内に固定式架台の太陽光パネルがないため、追尾式による発電量の増加分を正確に把握できないが、市内のほかの約50kWの低圧連系発電所に比べ、概ね1.2~1.3倍程度の発電量になっている」という。

 エルムでは、「売電単価32円/kWの場合、20年間の累計売電収入は約5000万円になり、投資効率が高まる」という。同社では、買取価格20円台/kWhになってきたことに対応し、1軸式の追尾型架台システムも製品化しており、「現在では、1軸式タイプの追尾架台の方が事業性を確保しやすいため、引き合いが多い」(エルム)という。