岡山ではLPガスのサイサンと組む

 冒頭に紹介した岡山市の案件(図4)は、建設関連の取引先からの紹介で、ゴルフコースの跡地を活用した。

図4●起伏に沿ってパネルを配置
図4●起伏に沿ってパネルを配置
ゴルフコース跡地を活用(出所:日経BP)
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 SPC「新岡山ソーラー」には、伊藤忠商事が50%、芙蓉総合リースとエネワンソーラー(東京都千代田区)が25%ずつを出資している。

 エネワンソーラーは、LPガスを手掛けるサイサン(さいたま市)と、太陽光発電開発の森和エナジー(東京都千代田区)による共同出資会社である。サイサンは、エネルギー関連事業の一つとして、国内のさまざまな地域で太陽光発電に取り組んでいる。

 岡山市のメガソーラーは、日射に恵まれた地域にある。年間発電量は、一般家庭約7600世帯分の消費電力に相当する、約4300万kWhを見込んでいる。

 土地造成工事は大林組、EPCサービスは東芝が担当した。太陽光パネルは東芝製、PCSはTMEIC製を採用した。パネルとPCSは、大分市の案件と同じ組み合わせとなった。

 太陽光パネル出力の約37MWに対して、連系出力は28MWで、約1.35倍の過積載となっている。

 メガソーラーは、北と南の二つの区画で構成されている。北エリアは、広い敷地内に、より効率的に太陽光パネルが並んでいる(図5)。

図5●広い敷地に効率的にパネルが並ぶ
図5●広い敷地に効率的にパネルが並ぶ
北の区画(出所:日経BP)
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 南エリアは、南に下る傾斜になっている(図6)。このため、一般的なメガソーラーに比べて、アレイ(パネルの設置単位)間隔を狭くでき、より多くの枚数を設置できる。

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図6●南に下る傾斜を活用
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図6●南に下る傾斜を活用
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図6●南に下る傾斜を活用
南の区画(出所:日経BP)

 南向きの傾斜地は、北に向かって上っていく。アレイの後列は、前の列よりも高い位置になる。このため、前列の影が、後列にかかりにくくなり、間隔を詰めて設置できる。

 これに対して、平坦な場所や、北向きに下っていく斜面では、前列の影が後列にかかりやすくなる。そこで、アレイ間隔を広げる必要がある。

 太陽光パネルは、標準で10度に傾けて、14万5362枚を並べた。

●発電所の概要
名称新岡山太陽光発電所
所在地岡山県岡山市北区
敷地面積非公開
太陽光パネル出力約37MW
連系出力28MW
年間発電量約4300万kWh(一般家庭約7600世帯の消費電力に相当)
発電事業者新岡山ソーラー(伊藤忠商事、芙蓉総合リース、エネワンソーラーによる特定目的会社)
土地造成工事大林組
EPC(設計・調達・施工)サービス東芝
太陽光パネル東芝製(14万5362枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
融資みずほ銀行を幹事とする銀行団
着工2014年12月
売電開始2017年1月
売電価格非公開
売電先中国電力