フレームを保護する積雪地向けパネル

 太陽光パネルは、積雪地向けの製品を導入した(図10)。三菱電機では、東北以北に立地する太陽光発電所向けには、平年は積雪量が少ない地域でも、この積雪地向けのパネルを推奨しているという。

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図10●積雪地向けの太陽光パネル
図10●積雪地向けの太陽光パネル
裏面に保護用のバーを備える(出所:上は日経BP、下は三菱電機)
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 全国的に異常気象が相次ぎ、2014年2月に関東甲信越や東北南部に降った大雪のように、平年の積雪量が少ない地域でも、20年間の売電期間中に想定外の大雪でパネルが損傷する恐れを無視できないためとしている。

 同社の積雪地向けパネルは、裏面の短辺側に保護用のバーを追加している。積雪による荷重によって、パネルからフレームが外れるといった損傷を防ぐ。

 太陽光発電所における積雪では、パネル上から雪が溶けて滑り落ちていく過程で、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の最下段のパネルのフレームが外れる場合があるという。

 パネル上に積もった雪が、夜の間に凍り、その後、溶けたり再び凍ったりすることで、最下段のパネルの低部のフレームに過剰な応力がかかり、フレームを下向きに引きはがす場合がある。

 亘理町は、宮城県内では積雪量の少ない地域だが、長期の安全な運用を優先して採用した。今回の設置角20度では、垂直積雪量1.5mに対応できるとする。

 また、25年間で出力劣化率20%以内のリニア出力保証、10年間の瑕疵保証を付けている。

 このように、宮城県では、20年間の運用を見据えた信頼性の高い設備の導入を重視した。三菱電機も、架台から太陽光パネル(関連コラム1)、PCSのパワー半導体(同コラム2)、監視カメラ、遠隔監視システムまで、自社設計・国内生産品という、責任を持てる体制が売りと強調している。

●発電所の概要
名称亘理・山元第2地区太陽光発電所
所在地 宮城県亘理郡亘理町
連系出力1.455MW
太陽光パネル出力2.25MW
年間発電量20年間平均:189万7000kWh(一般家庭約520世帯の消費電力に相当)
発電事業者宮城県(出力抑制対応機器の導入後、亘理土地改良区に変更予定)
土地所有者宮城県亘理町
設計宮城県
調達・施工三菱電機
太陽光パネル三菱電機製(単結晶シリコン型・積雪地用:270W/枚・8344枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(高圧受変電設備一体型:出力500kW・3台)
開発費9億2000万円(負担比率:国50%、宮城県25%、亘理町・山元町25%)
着工2016年2月5日
売電開始2017年3月1日
売電価格32円/kWh(税抜き)
売電先東北電力
■変更履歴
公開当初、売電収入や設置角、地盤沈下などに関する表記に誤りがあり、訂正しました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/05/19 12:26]