ガス発電機の不足分を太陽光で賄う

 PFI事業全体の特徴は、ガス発電機の排熱(蒸気)を浄水汚泥の脱水工程やLNG(液化天然ガス)の気化、見学室の暖房に利用するコージェネレーション(熱電併給)システムを構築してエネルギー効率を高めるとともに、脱水後の汚泥(脱水ケーキ)を、園芸用土の基盤材などとして有価で販売することで環境性を高めたこと(図4)。加えて、発電設備は、常用と非常用を兼ねており、商用の受電電力のピークカットとFIT活用による売電で経済性を高めていることだ。

図4●浄水汚泥を乾燥させた脱水ケーキは全量リサイクルに
図4●浄水汚泥を乾燥させた脱水ケーキは全量リサイクルに
(出所:日経BP)
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 また、メガソーラー設備として特徴的な点は、FITを活用する事業用太陽光でありながら自家消費後の余剰分を売電していること。また、出力3.1MWという特別高圧送電線と連系する規模の発電容量でありながら、新たに特高受電変電設備を新設せず、浄水場内にある既存の受変電設備を活用したことだ。

 ガス発電設備と太陽光発電の運用は、以下が基本になる。犬山浄水場の電力最大需要は5.5MW程度。ガス発電機は出力1MW機・6台設置したが、平常時は最大4台で4MWの運転とし、2台が予備との位置づけ。需要に応じて台数制御する。

 浄水場には導水ポンプが5台あり、最大で3台運転し、それが需要の大部分を占める。そこで、導水ポンプ1台の稼働時には、ガス発電機2台、導水ポンプ2~3台の稼働時には、ガス発電機4台という台数制御を行う。発電量は、需要よりも300kW小さくなるように制御し、残りをメガソーラーで賄うことを基本とする。

 その結果、メガソーラーの設置容量3.1MWに達するが、自家消費するのは0.3MW(300kW)になることが多くなり、残りはFITを活用して中部電力に売電する。売電単価は32円/kWhとなる。