植生マットで土の流出を防ぐ

 奈義町の町有地と個人1人の所有地を合わせた、敷地面積19万7137m2の土地に発電設備を設置した。

 かつて、果樹園や菜の花畑などとして活用されていたものの、開発に着手した当時は、耕作されていなかった。農地を転用し、メガソーラーの用地とした。

 田畑が広がる地域にあることから、周辺の農業に影響しないように発電設備を施工し、運営していくことが求められた。

 例えば、メガソーラーの敷地の南東には、農業用のため池が隣接している(図2)。稲作などに使われており、100年以上にわたり、地域関係者や水利組合が守ってきた。土砂が流入するなどして、水が汚れると、赤潮が生じる可能性もある。

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図2●農業用ため池が隣接
図2●農業用ため池が隣接
手前のため池の水が汚れないように、さまざまな工夫を施した(出所:上はBCPGジャパン、下は日経BP)
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 そこで、水利組合の協力を得ながら、ため池の水を、極力、汚なさいように徹底しているという。

 施工時には、造成を含む土木工事を実施する日程などについて、水利組合の意向を踏まえて調整し、周辺地域の稲作に支障を来さないようにした。

 メガソーラーの設計でも、排水や土砂の流出対策を念入りに施した。

 まず、傾斜のある場所ほど、雨水によって土が流れやすいため、植生マットを敷いた(図3)。草を素早く育成することで、地面を安定させるものである。パネル低部側の地表に敷き、パネルから雨水が流れ落ちても、草地のように水が染み込み、土が流出しなくなる効果を狙った。

図3●傾斜地に設置したパネルの前に植生マット
図3●傾斜地に設置したパネルの前に植生マット
土を流出させない工夫の一つ(出所:日経BP)
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