アースとアースをつなぐ
そんななか、同様の検討を続けてきたNHK(日本放送協会)が、太陽光発電所の建設に踏み切った。2012年8月に埼玉県久喜市にある菖蒲久喜ラジオ放送所内に約2MWのメガソーラーを稼働させ、その後、電波の送信に影響なく、運営している。
ニッポン放送の田中総務局長は、NHKのこうした導入事例も調査し、本格的な検討に入り、木更津送信所にメガソーラーを設置することに決めた。
まず太陽光発電システムの電気設備面の設計をNTTファシリティーズに依頼しつつ、施工を含めた全体設計に関しては、電気興業に委託した。同社は、木更津送信所のアンテナなど電波の送信設備の設計・施工を行った企業だ。電波関連設備の専門家の立場から、パネルを設置した場合の電波への影響をシミュレーションした。
ニッポン放送では、こうした事前調査を慎重に行い、最終的に「電波の送信に影響ない」と、判断し、メガソーラー建設に乗り出した。
太陽光パネルの設置に際しては、地中のラジアルアースを傷つけないことが重要になる。加えて、電波の送信と発電設備が干渉して悪影響を起こさないようにするために、太陽光パネル架台に取り付けるアースと、送信アンテナのラジアルアースをつなぎ込むことが、有効な対策と分かり、そうした作業も必要になった。
そのためには、まず、地中のラジアルアースの位置を特定し、つなぎ込みの部分を掘り出す必要がある。木更津送信所では120本のラジアルアースがあり、それらをすべて探索し、部分的に太陽光パネル架台のアースと接続した(図3)(図4)。