主力変動を5kW/秒以内に抑制

 ディーゼルエンジン発電機で電力を供給している離島では、太陽光の出力変動に対応し、エンジン発電機の出力を増減することで、需給バランスを維持している。九電によると、1分当たり総需要の3%を超える急激な負荷変動にはエンジン発電機が追従できないとしている。徳之島の場合、昼間最低負荷は11MWなので、エンジン発電機が追従可能な許容出力変動幅は「約5kW/秒」となる。

 そこで、メガソーラーと蓄電池の合成出力の変動を、5kW/秒以下に抑えることを求めている。5kW/秒を超える急峻な変動幅の場合、蓄電池の充放電によって変化をランプ状(傾斜状)に緩やかにするという制御が必要になる(図7)。

図7●蓄電池による出力変動の緩和のイメージ
図7●蓄電池による出力変動の緩和のイメージ
(出所:九州電力)
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 実は、ユニバーサルエコロジーは、今回のミニゴルフ場跡地での太陽光発電所を、低圧分割方式で開発する計画を進めていた。だが、「50kW未満の太陽光に小型PCSと小型蓄電池を併設する構成では事業性を確保できないことや、九州電力としても、大型蓄電池で一括制御する方が系統運用の視点から好ましいとの要請があり、最終的に低圧分割でなく、高圧連系する1つのメガソーラーに蓄電池を併設することにした」(景山剛史常務)。

 そこで、壱岐や隠岐など、離島での短周期変動対応の蓄電池システムの構築で実績のあった三菱電機に相談し、全体システムの設計を依頼することにした。

 三菱電機は、これまで離島の変電所内に大型蓄電池を設置し、系統周波数の変動対策に使うシステムを構築してきた。こうした電力系統に直接、連系する「系統蓄電池」では、系統全体の周波数変動を指標にし、蓄電池の充放電をリアルタイムに制御し、周波数変動を緩和する制御手法を採用することが多い。