短周期変動対策で蓄電池が必須に

 徳之島には3つの町があり、約1万1000人が暮らしている。電力需要は島全体で12~13MW程度で、昼間最少需要は約11MW。九州電力が3カ所の火力発電所から電力を供給している。3カ所合わせてディーゼルエンジン発電機10基で30.5MWの設備となる。

 同島では、2013年に900kW、2015年に約2MWのメガソーラーを稼働するなど、住宅用や低圧連系案件を合わせ、太陽光設備が4MWを超えていた。今回、新たなメガソーラーが稼働したことで、約6MWの太陽光が系統に接続したことになる(図6)。

図6●中国ジンコソーラー製の太陽光パネルを採用
図6●中国ジンコソーラー製の太陽光パネルを採用
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 離島では、電力系統の規模が小さいため、出力変動が大きいメガソーラーを多く接続すると、急峻な出力の増減に火力発電の出力調整が追い付かず、需給バランスが崩れて、周波数の変動が大きくなってしまう。こうした現象を周波数の「短周期変動」と呼ぶ。

 九州電力は、離島で特別高圧・高圧連系の太陽光を連系するには、一定の接続申し込み量を超えた場合、短周期変動への対策として、蓄電池を併設することを求めていた。徳之島の場合、2013年に900kWの太陽光が稼動して以降、蓄電池の併設が必要になった。

 短周期変動対策のために新規のメガソーラーの系統接続の条件として、蓄電池を求められているのは、九電管内の離島のほか、北海道電力管内などがある。北海道や離島では、蓄電池併設型メガソーラーの計画が相次いで公表されているが、実際に運転開始まで至ったのは、2015年4月に徳之島で稼働した約2MWと、今年4月に北海道日高町に稼働した出力約10MWのメガソーラーだけで、今回、ユニバーサルエコロジーの開発したプロジェクトが3件目となる(関連記事1)(関連記事2)。