気温が低くて雪が溶けにくく、積雪量は嵩む

 施工は自社グループで賄い、基礎や架台を地元で調達することで、いくつかの利点がある。例えば、地域の気象条件や環境をよく知っているため、適切な設計が期待できること、さらに輸送などのコストが少なくて済むことがある。

 地域の環境に合った適切な設計例として、積雪対策がある。メガソーラーの設計時には、気象庁のデータなどから、その地域の基準風速、平均積雪量、凍結深度などを把握し、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の構成、設置高や設置角、基礎や架台の構成などを決めていく。

 十勝は、北海道内では比較的、積雪量が少ない。とはいえ、気温が低いために、積雪後の雪が溶けにくいという特徴がある。雪が溶けきらないうちに、次の降雪がやってくることも多い。

 このため、統計に表れる積雪量と、実際の雪の状態は異なる場合もあり、1回の降雪量以上に高く積もることも多い。したがって、太陽光パネルの設置高は、同水準の積雪量の地域よりも、相対的に大きく設定しておく必要があるという(図4)。同社では、1.8mなどに設定している。

図4●統計に表れる積雪量と、実際の積雪の状態は異なる
図4●統計に表れる積雪量と、実際の積雪の状態は異なる
十勝では気温が低くて雪が溶けにくく、積雪量は嵩む。画像は帯広大正のメガソーラー(出所:日経BP)
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 このように、実際の設置環境には、統計データだけでは見えにくい実態もあり、そうした知見や経験を、基礎や架台の設計などに生かすことが重要になる。

 必要な強度や堅牢性、長期信頼性などを満たしながら、コストを最小に抑える構造が望ましい。このあたりのさじ加減が、地元を知る企業の利点の一つと考えている。

 基礎については、最初に施工した「ティー・ワイ 帯広大正太陽光発電所」のみ、杭基礎を採用したものの、それ以降は、コンクリート二次製品による置き基礎に統一している。架台についても、鋼製で統一している。