前回、紹介した三重県津市のゴルフ場跡にある出力約51MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「オリックス51M津メガソーラー発電所」では、「使用前自主検査」の作業の多くを、中部電気保安協会が担った(図1)。

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図1●太陽光パネル出力約51MWの発電設備を使用前自主検査
図1●太陽光パネル出力約51MWの発電設備を使用前自主検査
三重県津市のゴルフ場跡にある「オリックス51M津メガソーラー発電所」(出所:中部電気保安協会)
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 使用前自主検査は、売電を始める前に実施するもので、「竣工検査」と呼ばれることもある。太陽光発電所が、事前に届け出た工事計画書に従って施工されているか、電気設備の技術基準に適しているのか、などを確認するのが目的だ。

 太陽光発電における使用前自主検査は、これまで、出力2MW以上の発電所に求められてきた。この規模の出力の発電所は、例外的に高圧配電線に連系する場合はあるものの、ほぼ特別高圧送電線に連系するメガソーラーとなる。

 経済産業省は2016年11月、この対象範囲を広げ、高圧配電線に連系する発電所の一部も加えた。これによって、出力500kW以上2MW未満の太陽光発電所でも、使用前自主検査が必要になった。

 高圧配電線に連系する太陽光発電所の中で、事業性を最も高めやすいことから、当初から開発件数の多い出力2MW弱や、今後、増えるとみられる出力500kWといった案件も対象となった。

 経産省では、対象範囲を拡大した理由として、太陽光発電所の設置数の増加とともに、設置事業者の知識や、運営中の保安能力が多様化していることを挙げている。

 すなわち、安全性や信頼性、耐久性などについて、この規模の太陽光発電所に本来、求められるべき水準を満たしていない案件を防ぐ目的がある。

 同省では、中小規模の太陽光発電システムに関して、突風や台風などによって、太陽光パネルが飛散し、近隣の家屋などが被災した例を挙げ、危惧を示している。

 今後、多くの太陽光発電所で求められる要件となることから、今回、津の出力51MWを例に、使用前自主検査について紹介する。

 中部電気保安協会によると、外部委託が認められている出力2MW未満の太陽光発電所の電気保安管理業務に関する新規契約は、月に約10~40件で推移している。

 このうち、約半数が出力500kW以上2MW未満という、新たに使用前自主検査の対象に加わった発電所が占めている。こうした発電所では、2016年12月以降、電気保安管理業務とともに、使用前自主検査までセットのような形で委託されているという。