O&Mのあり方は、年月とともに変わる
オリックスでは、開発したメガソーラーの多くが売電を開始し、運転期間が長くなるにつれ、運用のあり方や手法を変えていくことを検討している。
売電ロスを最小化して投資効率を最大化するという目的は同じでも、稼働後1年と5年、10年とでは、求められるO&Mは変わると予想している。例えば、交換の想定される設備や部材、スペア備蓄の考え方、遠隔監視の仕組みやデータの分析手法などである。
ただし、売電ロスを未然に防ぐ予防保全の考え方は、常に重要という。
例えば、カラスが石を落としてパネルが割れた場合、発電量自体は落ちないことも多く、製品不良ではないので、メーカーの保証対象とはならない。だが、オリックスでは将来、発電ロスにつながる恐れがあるほか、何らかの災害の原因となることから、交換している。
交換費用は保険で賄うが、こうした適用が続けば、保険代が高くなり、事業性を損なっていく。
このため、予防保全として、さまざまなカラス撃退法を検討している。この一環として、テグスを張っているメガソーラーもあるという。
また、さらに発電開始から月日が経ち、パネルの発電量が下がってきた場合の対応も、検討の余地がある。パネルメーカーは「経年劣化」と称し、年数ごとの発電量の低下具合を定め、それを下回った製品を保証の対象として交換する。
この保証の対象外でも、一定以上に出力が低下した場合、そのパネルを交換して発電量を増やした方が事業性の高まる場合もある。
この選択について、オリックスでは、その時点でのパネル価格によって検討することになるだろうとしている。現在のところ、運営しているメガソーラーにおいて、こうした劣化による交換はないという。
次回(3月28日公開予定)は、同発電所での竣工前検査(使用前自主検査)について紹介する。
発電所名 | オリックス51M津メガソーラー発電所 |
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所在地 | 三重県津市白山町三ヶ野3209ほか |
敷地面積 | 約113万5001m2(東京ドーム約25個分) |
発電事業者 | ORソーラー・エイト合同会社(オリックスによる特定目的会社) |
太陽光パネル出力 | 51.030MW |
連系出力 | 42MW |
初年度年間発電量 | 5781万5692kWh(一般家庭約1万6060世帯の消費電力に相当) |
設計・施工 | トーエネック |
太陽光パネル | 東芝製(20万4120枚) |
パワーコンディショナー(PCS) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製 |
O&M(運用・保守) | トーエネック |
運転開始日 | 2016年5月10日 |
売電価格 | 36円/kWh(税抜き) |
売電先 | 中部電力 |