斜面への設置に向く独自の手法

 大規模な造成を抑えるため、パネルは、起伏のある斜面に土地なりに並べることが多くなる。こうした場合でも、効率的に施工できる手法として、杭基礎とアルミ材による架台を採用した(図6)。

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図6●斜面に向くトーエネックの「FX鋼管基礎」を採用
図6●斜面に向くトーエネックの「FX鋼管基礎」を採用
長さ約2mの支持用鋼管を2本、地中でクロスさせてX字型に固定(出所:日経BP)
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 トーエネックの開発した「FX鋼管基礎」である。重機による掘削が不要で、打設機で鋼管を打ち込むだけのため、斜面に向く。

 長さ約2mの支持用鋼管を2本、地中でクロスさせ、X字型に固定することで、引き抜き強度を確保した。

 高さは、基礎側で調整した。地面からパネル最低部の高さは、設置場所の状況によって異なる。最も低い場所では、約30cmと一般的なメガソーラーに比べてかなり低い。

 設置角は、南向き10度にした。東西方向には、斜面の傾きに合わせて設置した。

 アルミ架台は、軽量のため、斜面での作業の軽減に効果があった。

 この手法では設置できない場所には、二つの手法を使った。一つは、地中に岩石がある場合。長さ2mの支持用鋼管が、地中の岩石にぶつかって途中までしか打ち込めないと、必要な強度を得られない恐れがある。

 深さ1m以上、支持用鋼管を打ち込めない場合、地表部分の鋼管を切って高さを揃えた上、地中の打ち込み不足分は、鋼管内から削孔し、そこに鉄筋を打ち込んで周囲をセメントミルクで固めた。

 もう一つは、駐車場やクラブハウスの跡など、地面がアスファルト舗装されている場所である(図7)。この場合には、コンクリートによる基礎を使った。

図7●アスファルト舗装されている場所では置き基礎
図7●アスファルト舗装されている場所では置き基礎
クラブハウスや駐車場の跡で活用(出所:日経BP)
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