一般的なゴルフ場案件の3倍のパネルを配置

 ゴルフ場跡をメガソーラー用地として活用する場合、一般的に、ゴルフ場の開発時に得た林地開発の許可の範囲内で、発電設備を設置する場合が多い(図3)。新たに開発許可を取得するより、「用途変更」で済ませる方が開発期間を短縮しやすい。

図3●コース内の池を残して太陽光パネルを設置
図3●コース内の池を残して太陽光パネルを設置
元の地形を生かしながら開発(出所:日経BP)
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 すでに開発済みの範囲内になるため、土砂を大幅に動かすような大規模な造成がなく、排水などの設備もゴルフ場当時の施設を利用するなど、開発費を抑えながら、大規模な太陽光発電システムを導入できる利点もある。

 ただし、その場合、パネルを並べるエリアが、フェアウエイなどに限られることになる。ゴルフ場時代の残置森林や急斜面などの多くは、一部の樹木を伐採することはあっても、ほぼそのまま残すため、ほとんどパネルを並べられない。

 こうした事情から、ゴルフ場跡地をメガソーラーにする場合、一般的には「1ホール当たり出力1MW」がパネル設置容量の目安となっている。

 ところが、津のメガソーラーは、18ホールのゴルフ場だったにも関わらず、出力約51MWと、一般的な場合に比べて、3倍近い容量のパネルを並べた(図4)。

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図4●「1ホールあたり出力1MW」の常識を超える配置
図4●「1ホールあたり出力1MW」の常識を超える配置
ゴルフ場の構造がパネル設置に適していた(出所:上はオリックス、下は日経BP)
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 これは、もともとのゴルフ場の構造による利点だった。18ホールのフェアウエイの多くは、山林の中に段々畑のように開発され、ホール間の距離はそれほど離れていなかった。

 そのため、フェアウエイ間にパネルを置けない急な法面や残置森林が小さく、結果的に多くのパネルを並べられた。また、クラブハウスや駐車場などの跡地にも、パネルを設置した。

 さらに、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)同士の間は、影のかからない範囲で最短まで狭めた(図5)。

図5●傾斜の斜度などによってアレイごとに間隔を細かく調整
図5●傾斜の斜度などによってアレイごとに間隔を細かく調整
手前側と中央部で間隔が異なるのがわかる(出所:日経BP)
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 間隔は、最小で50cmの場所もある。平地に近い場所では約1.6mを基本とする。設置場所の傾斜角度などによって、影の長さが異なるため、アレイごとに間隔を細かく変えている。

 こうした配置によって、約113.5万m2の土地に、20万4120枚のパネルを並べた。