設置角5度で「北向き」に対応

 完成した「薩摩川内開拓跡地太陽光発電所」を訪れると、北に下った斜面にも関わらず、パネルは設置角5度で南を向くよう、巧みに設置しているのが分かる。北向き斜面では、平らの土地に比べてアレイ(パネルの設置単位)の影が長くなるため、パネルの設置枚数を確保するには、設置角を小さくし、架台の最高部を極力、低くする必要がある。

 設置角5度でアレイ間隔を1m程度に並べたため、山頂から眺めると、山肌全面をパネルが覆っているように見える(図3)。アレイは、大きく5つのエリアに分けて設置し、パワーコンディショナー(PCS)は、発電所の入り口近くの最も低いエリアに据え付けた。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した(図4)。

図3●山頂から見下ろすと「北向き」がよくわかる
図3●山頂から見下ろすと「北向き」がよくわかる
(出所:日経BP)
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図4●パワーコンディショナーは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
図4●パワーコンディショナーは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
(出所:日経BP)
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 京セラ製パネル(60セル・265W/枚)を横置きで6列・4段を1単位の基本アレイとし、これを南北方向3個、東西方向3個のコンクリート製置き基礎と支柱で支えている。設置面積の狭いエリアでは、3列・4段のアレイ構成にし、南北方向3個、東西方向2個の基礎で支えた。2分の1サイズのアレイも導入することで設置枚数を増やした。

 置き基礎は、外部工場で型枠に流して固めたプレキャストコンクリート(以下、プレコン)を採用した。プレコンは鉄筋入りにして強度を高めた。

 起伏のある用地の場合、南北方向に1本杭を使うことが多い。支柱の高さやパネルの設置角度を調節しやすいからだ。「薩摩川内開拓跡地太陽光発電所」も、当初、杭基礎を検討したが、地盤に大きくかつ硬い岩が多く、施工が難しいと判断、採用を諦めた。