設備利用率は17%を超える

 丸惣では、年間約5000tの廃瓦を排出しており、その有効利用のため、セラミックサンドの用途開発を進めている。セラミックサンドは、破砕後に分級機で選別し、20~30㎜のほか、13~20㎜、5~13㎜、1~5㎜、1㎜以下に分けて製品化している(図9)。路盤材やコンクリート骨材のほか、庭や駐車場の敷砂など、用途に応じて使い分けている(図10)。

図9●粒径ごとに選別される
図9●粒径ごとに選別される
(出所:日経BP)
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図10●庭の敷砂として活用した例
図10●庭の敷砂として活用した例
(出所:丸惣)
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 原料は廃瓦だけのため、有害物質などの問題はないものの、再生材を使った製品だけに、定期的に溶出試験を行い、安全性を確認している。こうした試験データの裏付けもあり、島根県から「しまねグリーン製品」に認定されている。

 庭に敷いた場合、美観のほか、照り返しを減らして温度を下げる効果もある。メガソーラーの地盤に活用した場合も、明るい色調で散乱光が増えることは発電量にプラスなる。加えて、雨水を長期間、蓄えるため、その蒸散作用による温度低減効果で、結晶シリコン型太陽電池の欠点である高温による発電ロスの増加を抑えることも期待できる。

 「丸惣敬川太陽光発電所」は、これまでのところ、予想よりも発電量は上振れしている。2014年と2015年の設備利用率は、いずれも17%を超えており、政府の調達価格等算定委員会が採用している国内の平均的な設備利用率である14%を上回っている。この原因としては、もちろん連系出力よりパネル容量を増やした「過積載」の影響もあるが、セラミックサンドによる発電量増加もプラスに働いた可能性もある。

 一方、セラミックサンドのマイナス面として、敷地内に小石が大量にあることが、カラスによるパネルの破損を誘発している可能性もある。稼働以来、時折、パネルの上に石が乗っていることがあり、カラスが石を落とした可能性が高いという。これまで数回、カバーガラスの破損にまで至った。最近でも年末年始に4枚、割れているのが見つかった。ただ、これは廃瓦が敷地にあることより、カラスの巣があると思われる林が近くにあること、カラスの石落とし被害を受けやすいといわれる黒色のパネル(単結晶シリコン型、CIS化合物型など)であることなどの条件が直接的な要因と思われる。