保水効果で泥水の流出がなくなる

 セラミックサンドの効果は、防草だけではないという。太陽光発電所を建設する前、事業用地には、瓦の原料になる粘土なども保管してあったため、大雨が降ると、泥水が周囲に流れ出ることがあった。だが、「発電所を建設して以来、かなりの雨でも、周囲に水が流れ出ることはなくなった」(佐々木社長)という。

 地盤に敷いたセラミックサンドには保水効果があり、雨水を一時的に蓄えているという。粘土を焼いた瓦の材質は、無数の穴の空いた「多孔質」になっており、その穴に水が吸い込まれ、徐々に蒸発させることで、こうした保水効果や調湿機能が発揮されるという。

 この保水効果が、一般的な砕石と比べた場合の利点にもなっている(図8)。

図8●破砕工場に積まれたセラミックサンド
図8●破砕工場に積まれたセラミックサンド
(出所:日経BP)
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 実は、昨年12月20日、2016年度に全線開通予定の山陰道に架かる橋の工事で、廃瓦をコンクリートの骨材として使った。高い強度の必要な橋のコンクリート工事に廃瓦が採用されたのは国内で初めてという。採用に至ったのは、広島大学大学院などの研究の結果、一般的な砕石を骨材に使った場合に比べ、廃瓦の方がコンクリートの強度が10%増すことが分かったからという。

 コンクリートの強度が増すのは、瓦の材質に保水性があるため、骨材に使うとコンクリート内部から十分な水分が補給されて、化学反応(水和反応)が最適化するためだ。加えて、コンクリート内の乾燥や収縮が抑えられるため、ひび割れを減らす効果もある。