3~5人がメンテナンスで常駐

 運用・保守(O&M)については、同社の他のメガソーラーと同様、グループ企業が担当している(図2)。日常的な点検や営繕だけでなく、緊急時の対応や設備の交換など、O&Mのすべてを賄う。

図2●グループでO&Mを担う
図2●グループでO&Mを担う
日常的な点検や営繕だけでなく、緊急時の対応や設備の交換まで網羅(出所:日経BP)
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 同社では、こうした手法を「スーパーフルメンテナンス」と呼ぶ。いわば、「発電事業者が20年間、修繕や保守について、何も考えなくて済む仕組み」という。

 発電事業者にとっては、20年間の運用・保守を一任でき、突発的な出費の心配もない。その分、対価は売電収入の約20%と比較的高く設定している。芝浦グループホールディングスにとっては、売電収入ほど大きな額ではなくても、20年間、O&Mサービスとして安定収入を確保できる。

 「スーパーフルメンテナンス」は、同社グループが設計・施工した案件にしか適用しない。新地哲己会長兼CEO(最高経営責任者)は、「しっかりとした設備であることはもちろん、いかに保守を徹底できるかが、20年間の売電事業の成否を分ける」と強調する。メガソーラーの設計時点から、保守性を高めているという。

 みやま合同発電所を例に、同社の考える保守のあり方を探った。

 同社では、主に三つの組織でO&Mを担っている。一つ目は、本体の保安部で、電気主任技術者が所属し、電気保安管理業務や電力会社との折衝を担当している。二つ目は、遠隔監視・計測を専門とするグループ会社のアスリード(北九州市)で、メガソーラーを常時、遠隔監視しており、何らかの異常を確認した時には、すぐに関係先に連絡する。

 三つ目は、現地での保守活動を担うグループ会社、九州メンテナンス(同)。週ごと、月ごとに点検や営繕の計画を立て、41カ所の発電所を分担して、点検や草刈り、修繕や清掃といった作業をこまめに実施している。

 今回の取材時に、みやま合同発電所で保守作業を実施していたのは、九州メンテナンスである。メガソーラーに近い、大牟田支店(福岡県大牟田市)の従業員が担当した。

 同支店では、担当する近隣地域のメガソーラーの点検や営繕の計画に合わせて、それぞれのメガソーラーに従業員を派遣する。みやま合同発電所については、3~5人がほぼ常駐しているほか、その日の作業によって、さらに必要な人数を追加している。