小中学生2700人が総合学習で利用
大きな特徴は、太陽光発電設備と植物工場を併設したことだ。そうなったのは、まさに官民連携の賜物といえる。
あすびと福島の半谷栄寿・代表理事は南相馬市出身で、元東京電力の執行役員。震災後、南相馬市で復興ボランティアに取り組むなか、「復興を担う人材育成」の重要性を痛感し、「キッザニア」を運営するKCJグループ(東京都中央区)、伊藤冷機工業(南相馬市)と連携して太陽光設備を備えた教育・研修施設を構想していた。
一方、復興計画の中で、「植物工場」に着目していた南相馬市が、半谷氏らの構想を知り、両者のプロジェクトが融合する形で、「太陽光で発電した電気を使った植物工場」という理想的な施設を実証的に建設することを検討。東芝の出資などもあり、実現にこぎ着けた。
開館から約3年、「学びの場」として着実に実績を上げている。南相馬市内には、現在、約3500人の小中学生がいるが、これまでに約2700人が総合学習などで訪れた。企業研修にも力を入れており、2016年度までに70回で約1700人のビジネスパーソンを受け入れた(図4)。このほか旅行会社によるツアーのコースにもなり、短時間の見学者も含めると、開館以来、1万5000人以上が訪れているという。
2017年11月には、新しいセンターハウスが完成した(図5)。これまで説明会や研修用には、簡易プレハブハウスと仮設トイレしかなかった。今回、市の交流拠点施設整備事業の補助金(約1億円)を受け、鉄筋コンクリートの建屋を新設した。2つの研修室のほか、カフェコーナーやラウンジなども備えた。