福島県南相馬市の沿岸に位置する原町区は、東日本大震災で津波に遭い、広範囲の農地が海水を被った。南相馬市は、同地区の耕作放棄地を買い取り、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設など、復興整備計画を進めている。

南相馬市と連携、復興事業の先駆けに

 同地区ではようやくメガソーラーの工事が始まりつつあるが、まだ、そのほとんどが荒地のまま。見晴らしのよい沿岸部を海に向かい、新田川を渡ると、巨大なコンセントとプラグのオブジェが見えてくる(図1)。本格的な復興事業に先駆け、2013年3月に完成し、稼働している教育・研修施設「南相馬ソーラー・アグリパーク」だ。

図1●「南相馬ソーラー・アグリパーク」のシンボルになっているオブジェ
図1●「南相馬ソーラー・アグリパーク」のシンボルになっているオブジェ
(出所:日経BP)
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 同施設は、南相馬市と民間企業の連携により建設され、一般社団法人・あすびと福島(南相馬市)が運営する。市からの復興交付金は1億1500万円、農林水産省の補助金9000万円のほか、東芝がCSR(企業の社会的責任)の一環で1億円を出資した。

 津波に被災した2.4haの農地を転用し、太陽光発電システム(500kW)と植物工場(直径30m・2棟)、研修室などを備える事務棟(センターハウス)を設置した(図2)(図3)。可動式の太陽光パネルや水力発電の仕組みを体験できる装置などもあり、再生可能エネルギーの仕組みや保守作業などを学習できる。

図2●500kWの太陽光発電設備
図2●500kWの太陽光発電設備
(出所:日経BP)
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図3●ドーム型の植物工場
図3●ドーム型の植物工場
(出所:日経BP)
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