「志はソーシャル、仕組みはビジネス」

 あすびと福島の人材教育活動は、当初、寄付金に支えられてきた。ただ、震災から5年経ち、その額は年々減っている。2013年度は約4200万円だった寄付金は、2014年度は約2700万円、2015年度は約2000万円で、2016年度は1000万円を下回りそうだ。

 官民連携と言っても、再エネに関する啓発事業として受け取る行政委託料は年間で1000万円程度にすぎない。一方で、施設の運営や人材教育活動に年間5000万円以上の支出となる。こうしたなかで、寄付金の減少を補っているのが、有料で受注している企業の社員研修だ。売上高は2014年度が1700万円だったが、2015年度は2700万円、2016年度は3000万円を超える見込みだ。

 南相馬市は、大震災と原発事故によって、高齢化率が25%から、一気に35%に跳ね上がった。日本社会の課題を20年も先取りしているとも言える。南相馬での企業研修が好評なのは、こうした環境下での復興策を立案することが、企業にとっては、新たなビジネスにつながる可能性があるからという。

 半谷理事長は、「南相馬ソーラー・アグリパーク」での人材育成事業の運営に関し、「志はソーシャル、仕組みはビジネス」と言う。寄付や補助金に頼らず、事業として自立しつつ、地域の復興に貢献する人材を育てるーー。そうした試みは、南相馬だけでなく、全国各地で始まっている地方創生プロジェクトに共通した挑戦でもある。

●設備の概要
発電所名南相馬ソーラー・アグリパーク
住所 福島県南相馬市原町区泉字前向15
施設の運営主体あすびと福島
土地所有者南相馬市
設置面積 2.4ha
太陽光発電の出力500kW(発電事業の主体:福島復興ソーラー)
EPC(設計・調達・施工)サービス東芝
O&M(運用・保守)東芝
太陽光パネル東芝製(単結晶シリコン型・250W・60セル/枚、2000枚)
パワーコンディショナー(PCS)東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
その他の施設センターハウス、植物工場(2棟)、太陽光発電研究装置、水力発電研究装置、太陽光発電オブジェなど
完成2013年3月