集中豪雨でパネルが浸水

 太陽光発電の実際のO&Mでは、大きなトラブルがあった。「南相馬ソーラー・アグリパーク」は、新田川に面しており、太陽光発電のある場所は周囲よりやや低くなっている。2015年9月11日に関東から東北を襲った集中豪雨で、サイト内に水が貯まり、縦4段組みのアレイのうち、下2段のパネルで一部が浸水し、フェンスの多くが倒壊した(図9)。

図9●集中豪雨でパネルが浸水し、フェンスが倒壊した
図9●集中豪雨でパネルが浸水し、フェンスが倒壊した
(出所:日経BP)
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 小中学生の見学者向けに設置高を低めにしていたことが裏目に出てしまった面もある。パネルが水没した場合、直ちに発電に支障が出ないことも多いが、将来的な不具合のリスクが高まるため、交換することが一般的だ。

 「ソーラー・アグリパーク」でも、EPCを担当した東芝と協議し、損害保険を使って浸水したパネルを交換することにした。しかし、同じ型式のパネルが調達できないことがわかった。

 もともと東芝製の単結晶シリコン型パネル(250W・60セル/枚)を採用していた。そこで、同サイズで比較的、仕様の近い多結晶シリコン型パネルと付け替えることにした。その結果、黒っぽい単結晶シリコン製と、青色の多結晶シリコン型パネルが混在することになった(図10)。

図10●アレイの下2段のパネルを多結晶シリコン型に交換した
図10●アレイの下2段のパネルを多結晶シリコン型に交換した
(出所:日経BP)
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 本来、1つのストリング(直列回路)に異なったタイプのパネルをつなげることは、システム効率にロスが発生する可能性があり、好ましくないといわれる。そこで、東芝が、交換後の経過について、十分に監視していくことになったという。