太陽光発電で100kWを植物工場に供給

 太陽光発電システムの事業主体は福島復興ソーラー(東京都港区)となる。設計・施工は東芝が担当した。植物工場の経営に関しては、地元の農業法人に栽培設備を無償貸与し、同法人が管理を担っている(図6)。生産した野菜は、ヨークベニマルなどの店舗で販売している。

図6●「南相馬ソーラー・アグリパーク」で育った野菜
図6●「南相馬ソーラー・アグリパーク」で育った野菜
(出所:南相馬市)
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 太陽光発電の電力のうち、まず約100kW分を植物工場に15円/kWhで供給し、残りを固定価格買取制度(FIT)により40円/kWhで電力会社に売電している。日中、晴天でフルに発電している場合、100kWを植物工場、400kWを系統連系して売電することになる。

 植物工場は、グランパ(横浜市)の開発したドーム型のビニールハウスを採用した。自然の太陽光を活用しつつ、水耕栽培で野菜を育てる方式で、円形に並べた苗床に植えた野菜は、中心から外周付近まで移動しながら成長し、収穫するのが特徴だ。

 光合成には自然の太陽光を使うが、空調や送風などに電力を使う。太陽光発電所からの供給で賄えない分は、電力系統から購入する。同工場の管理者は、市が公募プロポーザルで選定したが、2015年に現場作業者の確保が難しいことなどを理由に撤退。2016年に新たな運営者が選定され、栽培に取り組んでいる。