自営線は公道に設置、積雪期には苦労も

 連系点までは、まず清水原発電所から、22kVに昇圧し、北西の豊房発電所まで約1kmの自営線で送電する(図10)。

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図10●清水原から豊房への自営線
図10●清水原から豊房への自営線
鉄塔や電柱を使い分け(出所:日経BP)
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 豊房発電所の北西端で66kVに昇圧し、今度は約7kmの自営線で連系用の開閉所に送電し(図11)、ここで中国電力の特別高圧送電線に連系する。

図11●豊房発電所からはほぼ公道を活用
図11●豊房発電所からはほぼ公道を活用
橋では電柱を新設して架線(出所:日経BP)
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 公道では基本的に地中に埋設しているものの、橋をわたる場所などでは、鉄塔や電柱などを使って上空に架線している。

 自営線は、2カ所とも、ほぼ公道上に敷設した。地方自治体の協力を得ていたこともあり、認可を得やすかったことなどの利点があった。

 ただし、公道は私有地などに比べて、通行に配慮した工事計画の立案や調整の手間が大きくなる。

 自営線の敷設の調整で大変だったのは、雪の季節という。積雪期の公道では、地方自治体などの負担で、除雪車の作業がはじまる。この時に自営線を施工していると、除雪に支障があったり、逆に除雪が自営線の敷設に支障となる場合もある。

 雪が多く積もると、地方自治体は交通量の多い場所から、優先的に公道を除雪していく。

 このことは、自営線の施工だけでなく、メガソーラーの敷地内の施工にも影響した。とくに、より大山に近い清水原発電所は、市街地から大きく離れた奥深い場所にある。

 積雪期になると、清水原発電所に向かう道は、地方自治体による除雪の優先度は相対的に低いことから、雪に閉ざされることもある。例年、12月後半から2月末にかけて、通行が難しくなる日が出てくるという。

 これによって、発電所内の施工の遅れにつながる恐れがあった。

 そこで、清水原発電所における積雪期の施工を調整し、できるだけ積雪の影響を受けないようにした。

 清水原発電所では元々、春から夏にかけて、オオタカの営巣に配慮した施工の計画を組んでいる。この配慮のほかに、積雪期の現地までの通行を考慮した施工の計画を策定し、計画通りに実行することは難易度が高かったようだ。

 施工計画上、一定の範囲まで終えていない状態で積雪したことにより、自社で除雪費を負担して発電所までの通行を確保し、施工を続けたこともあるという。

●発電所の概要
発電所名CS鳥取大山太陽光発電所(CS大山清水原発電所、CS大山豊房発電所)
所在地鳥取県西伯郡大山町豊房
発電事業者CLEAN ENERGIES XXI(鳥取県大山町:カナディアン・ソーラー・プロジェクトの特定目的会社)
面積清水原:約34ha  豊房:約11ha
連系出力清水原:15.75MW 豊房:5MW
太陽光パネル出力清水原:約20MW 豊房:約7MW
年間予想発電量2万6259MWh
EPC(設計・調達・施工)サービス東芝
太陽光パネルカナディアン・ソーラー製(320W/枚:約8万5320枚)
PCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出力750kW・直流入力1000V対応機)
太陽光パネルの直列接続数18枚
太陽光パネルの設置角、設置高さ25度、1.5m
アレイ間隔約3.2m
自営線の設置距離合計約8km
着工2016年4月
売電開始時期2017年8月10日
売電価格(税抜き)40円/kWh
売電先中国電力