ランナーの見える高さに抑える

 公園との調和に関し、太陽光パネルの配置設計で配慮したのが、アレイ最上部の高さだ。「ながとスポーツ公園」のジョギングコースの一部は、発電所のフェンスに沿って、メガソーラーを半周するような形で設計されている。このため発電所の向こう側を走っている人が見えるように架台を低めにした(図7)。

図7●フェンスに沿ったジョギングコース
図7●フェンスに沿ったジョギングコース
(出所:日経BP)
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 パネルの設置角を10度まで寝かせ、単結晶シリコン型パネル(250W・60セル/枚)を縦置き2段に設置した(図8)。そのため、アレイ最上部は、1m程度に留まり、ジョギングコースを走りながえら、フェンス越しに向こう側のランナーの存在を確認できる。

図8●アレイ最高部を1m程度と低めに設置
図8●アレイ最高部を1m程度と低めに設置
(出所:日経BP)
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 最近のメガソーラーの設計では、パネルの設置コストを下げるため、パネルを縦4段程度まで並べた大面積アレイにする傾向が強い。基礎1本が支えるパネル数を多くすれば、施工コストが下がることになる。

 ESSによると、2段組みでアレイ面積を小さくしたことによる施工コストの増大はほとんどなかったという。その秘密は、南北方向1本の杭基礎を採用したことが大きい。これは東芝プラントシステムの開発した「KiTyシステム」という「基礎一体型太陽光パネル架台」で、基礎部分は地中2m程度まで杭を差し込み、周囲をセメントミルクで固定した。

 架台は、杭基礎から上向きに開いたV字構造になっており、アレイを載せる南北方向の鋼材と三角形状になる(図9)。シンプルな構成で、軽量鋼材を採用しながら三角構造で強度を確保し、スピード施工が容易などの特徴がある。

図9●東芝プラントシステムの基礎一体型架台「KiTyシステム」
図9●東芝プラントシステムの基礎一体型架台「KiTyシステム」
(出所:日経BP)
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