木製架台のリスクに備える

 木製架台の採用は、公募型プロポーザルの条件としていた(図2)。県内産の間伐材を活用することとし、地域貢献の観点から、特に西播磨産の木材の使用にも配慮することを求めた。

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図2●県内産の木材による架台を条件に
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図2●県内産の木材による架台を条件に
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図2●県内産の木材による架台を条件に
上が第3発電所、左下が第2発電所、右下が第1発電所。播磨科学公園都市は、電線を地中埋設し、電気設備の筐体の塗装を茶色にするなど、景観を重視しており、メガソーラーの接続箱も茶色に塗られているのが見える(出所:日経BP)

 兵庫県は、全面積の67%を森林が占め、林業の振興が課題となっている。播磨科学公園都市が立地している地域も、県内の有力な林業地帯に近い。そこで、地域の木材の利用を促し、林業や製材業など木材関連産業の活性化を目指した。

 ただし、木製架台は、設置後に風雨に曝され続けることで、耐久性や経年による変化で未知な部分がある。表面に防腐処理を施すものの、膨張・収縮したり、反ることによって、木材に固定した太陽光パネルに過剰な応力がかかれば、不具合が生じる恐れがある。

 急激な温度上昇などによって、割れることも想定される。割れが広がったり、シロアリに食べられたりすれば、木材が粉々に崩れ落ちてしまう。

 こうしたリスクをどのように考慮し、対策するのかが重要となる。そこで、兵庫県企業庁では、強度などのほかに、主に三つのことを要求した。

 一つ目は、一定以上の防腐・防蟻処理を施した木材を使うこと。日本農林規格(JAS)の「K4」クラスを満たすことを求めた。同クラスは、地面に接するような、高度な耐久性が要求される用途向けに適用される。または、優良木質建材等認証性能区分(屋外製品部材1種)と同等以上の品質で処理した木材を使うことを求めた。

 二つ目は、こうした処理を施した木材に対して、最低で10年間の品質を保証すること。一年間に一度、木材を一つ一つ確認し、一定以上に腐朽や虫害が生じた時点で交換することを求めた。

 木材分野の専門家からの助言では、今回の架台での使い方であれば、結果的に20年間、使い続けることも可能かもしれないというものの、事業としてのリスクを減らすため、この条件を設けた。

 三つ目は、木材の交換を想定したもので、架台は組みやすく、かつ、分解しやすい構造とすること(図3)。木製架台の施工や、運用時の木材の交換を容易にする。

図3●組みやすく、分解もしやすい構造
図3●組みやすく、分解もしやすい構造
第1発電所の架台(出所:日経BP)
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 木材による構造では、ホゾを使うことがある。強固な構造を実現できる上、木材の反りや捻じれなどを防ぐ効果も期待できるものの、交換は難しくなる。そこで、組み立てにはホゾを使わず、金属部品や木製のネジなどを使うことを求めた。