毎日、巡回しているだけでなく、遠隔監視カメラを導入して、発電所の状況把握に念を入れている。監視カメラについては、今回の新生のメガソーラーで、新たな設置手法を採用した(図4)。

図4●高さ約15mの柱を立てて監視カメラを設置
図4●高さ約15mの柱を立てて監視カメラを設置
高圧送電線への連系用の電柱(左)と比べると、高さが良くわかる(出所:日経BP)
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 一般的に、メガソーラーにおける監視カメラは、高さ3m程度の柱に設置されている。少し高く設置すれば、広い範囲を撮影でき、死角を減らせる。カメラの設置位置をさらに高くすれば、より監視上の効果は高まるものの、柱の導入費などのコストが増す。

 今回の新生のメガソーラーでは、自社で高さ約15mの柱を導入し、監視カメラを取り付けた。国内のメガソーラーでは、あまり見ることのない高さである。従来よりもさらに広い範囲を撮影でき、死角を減らせるという。

 開発を紋別市内に限っていることで、地元ならではの利点も出てくる。メガソーラーを開発する候補地の所有者が知人だったり、自社のネットワークに近い人であることが多い。土地を購入・賃借する際、交渉しやすい。

 また、農地転用が必要となる土地は選ばない。転用の難しさを知っているためである。

 さらに、できるだけ造成の規模が小さく、整地する程度で設置できるような、比較的平坦な用地を選ぶ。これによって開発費を減らせる。

 ただし、今回の新生のメガソーラーは、元々、原野のような手つかずの土地だったために、これまでに比べて造成費が多少、多くなったという(図5)。投資額は約4億8000万円を要した。

図5●右の丘との高低差から造成の規模がわかる
図5●右の丘との高低差から造成の規模がわかる
元は原野のような状態だった(出所:日経BP)
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 開発資金は、自己資金や金融機関による融資で賄ってきた。ここでは、創業以来、利益を出し続けていることや、鶴見会長が金融機関の出身であることが強みになってきたという。

 発電システムは、販売代理店となっているシャープから調達している。一次代理店向けの価格で発電システム一式を調達できる上、設計もシャープに委託できるといった利点がある。

 パワーコンディショナー(PCS)は、シャープが設計時に推奨したメーカー製を採用している。

 新生のメガソーラーでは、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。TMEIC製の採用は、紋別市渚滑町で隣接している出力1.5MWと1MWの発電所に続くもの。

 土地の造成や整地、基礎、架台の設置、電気設備の施工は、地元の建設会社や電設会社に委託している。

当初は北電から「ゼロ回答」

 新生のメガソーラーは、道路沿いにあるものの、周辺に住宅や防風林はない。このため地域住民の理解など難しい交渉は少なく、開発しやすい発電所だったと振り返る。

 ただし、連系協議で苦労があった。当初、北海道電力からは、受け入れ可能な容量の空きがないという、「ゼロ回答」を受けていたという。

 このため、一時的に開発を停止していた。その後、連系先の送電線の受け入れ可能な容量が増えたことを伝え聞き、連系協議を再開し、最終的に連系が可能になった。

 新生のメガソーラーだけでなく、他の4カ所ともに、高圧配電線への連系に伴う工事費負担金は、比較的高額となったとしている。