PCSの空調の工夫、千島海溝地震への悩み
オホーツク海に近いことから、PCSなどは塩害地向けの製品を採用してきた。主に、ファンなどのフィルター、筐体の塗装やパッキンなどに対策が施されている。
PCSは、一定の温度を下回ると、稼働を停止することがある。ハッピーサービスのメガソーラーでは、PCSの屋外設置用筺体内にある複数台の空調設備の工夫によって、低温による稼働停止を起こさず、かつ、空調に要する電力消費量を最小に留めるように運用している。
例えば、複数台の空調設備の自動冷暖房機能の設定である。1台ごとに起動する温度を変えることで、段階的に起動させる。
PCS関連では、最初に稼働した出力1MWのメガソーラーで、ファン関連の不具合も経験した。以前から建っていた建物を屋外設置用筺体の代わりに使い、ファンのみで運用していたところ、空気の出入口などで腐食が生じたことから、この部分を交換した上、メーカーの勧めに従って空調設備を追加したことで改善した。
現在、メガソーラーの運用で検討していることの一つに、保険をより充実させるかどうかがあるという。例えば、地震保険である。
政府の地震調査研究推進本部が2017年12月中旬、北海道沖の千島海溝沿いにおいて、今後30年以内に巨大地震が発生する確率を発表し、東日本大震災に匹敵するような規模の地震が切迫している可能性が高いとして、対策を呼びかけた。
地震保険は、費用が高いことで知られる。保険の活用で災害対策を万全に近づけておきたい一方、数十年間に一度といった可能性に対して、どこまで費用をかけるのか、発電事業者にとって悩ましいという。
名称 | ハッピーサービス太陽光新生発電所 |
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所在地 | 北海道紋別市新生 |
敷地面積 | 約4万5000m2 |
発電事業者 | ハッピーサービス(北海道紋別市) |
設計 | シャープ |
連系出力 | 1.5MW |
太陽光パネル出力 | 約1.561MW |
年間発電量 | 約125万kWh(一般家庭約340世帯の消費電力に相当) |
投資額 | 約4億8000万円 |
太陽光パネル | シャープ製(積雪地仕様の出力285W/枚・5460枚) |
パワーコンディショナー(PCS) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(出力500kW機・3台) |
売電開始時期 | 2018年1月2日 |
売電価格 | 36円/kWh(税抜き) |
売電先 | 北海道電力 |