2030年に電動車を世界で550万台以上販売し、そのうち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を100万台以上とする。そして、2025年頃までにはエンジン専用車をゼロにする──。トヨタ自動車が車両の電動化を加速すると宣言した。エンジン車とハイブリッド車(HEV)にほぼ絞り込んできたこれまでの戦略を改め、2020年以降はEVやプラグインHEVの展開を本格化させる。2017年12月18日に開いた説明会でこう発表したトヨタ自動車副社長の寺師茂樹氏が、報道陣の質問に答える形で同社の電動車戦略を明らかにした(図1)。その前編。
──ここに来てトヨタ自動車はEVに対してかなり積極的な発表を続けている。なぜか。
寺師氏:なぜ今頃になってトヨタ自動車は EVに関する発表をどんどん続けているのか。ドイツVolkswagen社がEVに積極的なので、そのプレッシャーに負けて慌てて発表しているのではないか?──という疑問があるのだと思う。だが、我々はずっと以前から「トヨタはEV化で遅れていない。きちんとした技術がある」と言い続けてきた(図2)。
それでも、「遅れている」とか、「言い分は分かった。でも、EVを1台出してから言いなさい」などと言われてしまう。確かに、その方が説得力があるとは思う。しかし、「分かりました。明日EVを出します」というわけにはいかない。まずはEVに対して何が課題で、何を解決すれば次のステップに進めるのかというところをはっきり説明しようと考えていた。
ところが、どうしても電池の部分の課題を乗り越えるストーリーを描けなかった。電池はいくらでも造れる、どんどん安くできるというところまで、トヨタ自動では考えられなかったからだ。ただし、HEV用電池はずっと自分たちで造ってきた。だから、大きな電池のストーリーをきちんと描き、我々が考えるEVがいつ頃から出せるというメッセージを出していきたいと思ってEV関連の発表を続けているわけだ。
そんなことを言っても、「まだEVを出していないじゃないか」という声はあるだろう。その指摘は甘んじて受ける。