2030年度の燃料電池車(FCV)市場は、2016年度比で170.6倍の2兆6270億円になる——。これは調査会社の富士経済が2017年12月12日に発表した市場予測だ(図1)。日本や北米を中心にFCVの市場は拡大。2020年以降に各メーカーの量産体制が整い、市場は大きく伸びるとみる。

図1 燃料電池車(FCV)市場は、2030年度に2兆6270億円に拡大
図1 燃料電池車(FCV)市場は、2030年度に2兆6270億円に拡大
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図2 トヨタ自動車のFCV「ミライ」
図2 トヨタ自動車のFCV「ミライ」
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 市場の拡大をけん引しているのは、トヨタ自動車の「ミライ」やホンダの「クラリティフューエルセル」などの日本勢だ。ミライは2014年12月に発売した量産型FCV(図2)。水素と空気中の酸素を化学反応させる燃料電池(FC)スタックで発電し、駆動用モーターを動かす仕組みである(関連記事:トヨタFCV発進)。

 同社が既存のハイブリッド車(HEV)に搭載する、駆動用モーターやパワー・コントロール・ユニット(PCU)、電池などを流用することで、徹底的な低コスト化を実現。量産にこぎ着けた。2025年にはHEV並の価格に引き下げようと技術開発を進めている。

図3 ホンダのFCV「クラリティフューエルセル」
図3 ホンダのFCV「クラリティフューエルセル」
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 対するホンダは、2016年3月にクラリティフューエルセルを発売した(図3)。同車両の最大の特徴は、他の電動車への展開を念頭にプラットフォーム(PF)を開発していることだ。

 ホンダ社長の八郷隆弘氏は「2030年をメドに、車両の販売台数の2/3をHEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、FCVといった電動車に置き換えていく」と語っている。その基となるのが、クラリティフューエルセルのPFだ。共通のPFを活用することで、電動車の低コスト化や車種展開の加速を狙う(関連記事:ホンダの新型FCV、進化を支えた先進技術)。