米Intel社は、3次元実装DRAMの「HBM2(High Bandwidth Memory 2)」を2.5次元混載するFPGA「Stratix 10 MX」の出荷を開始した(ニュースリリース)。14nm FinFETプロセスで作るFPGA「Stratix 10」の派生製品で(関連記事1)、高性能コンピューティング、データセンター、NFV(Network Functions Virtualization)、放送などのアプリケーションにおけるアクセラレーター用途に向ける。

 HBM2は、複数(最大8)のDRAMダイを縦積みしたスタックで、ダイ間はTSV(Thorough Silicon Via)で接続する。このHBM2スタックと、FPGAファブリックのダイ、高速トランシーバーのダイを1つの基板に2.5次元実装したSiP(System in Pacakge)が新製品のStratix 10 MXである。2.5次元実装技術には、同社の「EMIB:Embedded Multi-die Interconnect Bridge」を使う(関連記事2関連記事3関連記事4)。

新製品のイメージ。Intelのイメージ。
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 この構造を採った最大の利点は、FPGAファブリック(すなわちロジック回路)とHBM2スタック(ワーキングメモリー)間の広帯域化である1つのHBM2スタックとFPGAファブリックダイ間の帯域は最大256Gバイト/秒。SiP全体(すなわち、Stratix 10 MX製品)では、最大512Gバイト/秒の帯域を確保できる。Intelによれば、DDR4型DRAMチップをワーキングメモリーとして使った場合の帯域は最大21Gバイト/秒程度であり、今回のSiP構造で得られる帯域は10倍以上と説明している。

新製品の構成(左)と構造(右)。Intelのイメージ。
新製品の構成(左)と構造(右)。Intelのイメージ。
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 こうした広帯域は、「Apache Kafka」や「Apache Spark Streaming」といったストリーミング・データ・パイプラインを利用した高性能データ解析に威力を発揮するとIntelは言う。「Stratix 10 MXを使えば、データの読み書き、データの暗号化/復号化をリアルタイムに同時に実行できる。しかも、ホストCPUに負荷を掛けない」(同社)。

ストリーミング・サイバー・セキュリティー解析システムの構成例。従来のFPGAとDIMMを使った場合(左)。新製品を使った場合(右)。Intelの図。。
ストリーミング・サイバー・セキュリティー解析システムの構成例。従来のFPGAとDIMMを使った場合(左)。新製品を使った場合(右)。Intelの図。。
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