「対戦相手の戦い方、コース取りのクセ、そして自分自身のクセもデータとしてはっきり示されるのは大きな意味がある。新しい武器ができた」――。卓球女子で世界ランキング4位(2017年11月時点)の石川佳純選手は、ITを活用した最新のトレーニングシステムへの期待をこう語る。

卓球女子で世界ランキング4位(2017年11月時点)の石川佳純選手
卓球女子で世界ランキング4位(2017年11月時点)の石川佳純選手
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 シスコシステムズ合同会社は2017年12月5日、2020年東京五輪に向けて活躍が期待されている石川選手と、若干14歳ながら男子世界ランキングで16位(2017年11月時点)の張本智和選手と、アスリートアンバサダー契約を締結したと発表した。同社は両選手が抱えている課題や要望をヒアリングした上で、選手やコーチなどと協力し、同社のテクノロジーを活用した新しいトレーニング方法や戦術を構築していくという。都内で開催された発表会には、石川選手が登場し、シスコが提供する新しいサービスをデモした。

 今回披露したサービスは2つある。「コラボレーション」と「データ分析」である。いずれも、ネットワークを介して遠隔での共同作業を可能にするクラウド型アプリ「Cisco Spark」を活用する。

 「コラボレーション」では、Cisco Sparkで選手とコーチが離れた場所にいても試合や練習の動画を一緒に見て対策を立てられる。ボタン1つでビデオ会議ができるほか、プレーの動画を共有し、コーチがそこにアドバイスを書き込んだりして対策を立てられる。発表会では石川選手のコーチをしている母親がビデオ会議に参加し、直近の練習の映像を見ながら「もっと厳しいコースに打つように」と画面に赤い線を引きながらアドバイスした。

Cisco Sparkを使ってコーチと練習映像を共有。発表会では、コーチの母親が映像上に赤い線を引いて、「もっと角度をつけて打つように」とアドバイスした
Cisco Sparkを使ってコーチと練習映像を共有。発表会では、コーチの母親が映像上に赤い線を引いて、「もっと角度をつけて打つように」とアドバイスした
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 また、中学生である張本選手にはコラボレーション機能を使って、遠征時にネットワークを使った学習環境や学習コンテンツを提供し、競技と勉学を両立できるよう支援していくという。

プレーをリアルタイムに見える化

 もう一つの「データ分析」は、練習時のボールの速度やコースなどをリアルタイムにトラッキングして“見える化”した画像を、遠隔地にいるコーチと共有してアドバイスをもらえるサービスだ。

リアルタイムトラッキングのデモ。手前が石川選手
リアルタイムトラッキングのデモ。手前が石川選手
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