三菱マテリアル(本社・東京)は2017年11月24日、都内で会見を開き、子会社の三菱電線工業と三菱伸銅(いずれも本社・東京)による品質検査データの偽装概要を報告した。三菱マテリアルは10月31日付けで副社長の小野直樹氏が指揮する対策本部を設置。品質データ偽装の再発防止に努める。
三菱マテリアル副社長の小野直樹氏は、「三菱伸銅の調査は2017年内に完了するが、三菱電線の調査は調査範囲が多岐にわたるため、2017年内の完了は難しい」との見解を示した。
三菱電線は出荷数量の2割で偽装の可能性
三菱電線が品質データを偽装したのは一般的にはパッキンやガスケットと呼ばれる製品。主にゴムを素材とし、油や水、空気などの漏れ止めに用いられるシール材だ。2015年4月1日~2017年9月30日の2年6カ月の間に出荷した製品について調査したところ、一部の製品でシール材の寸法と材料物性の測定値を書き換えていたことが判明した。
調査期間(2年6カ月)の全出荷数量約13億3000万個(約294億円相当)のうち、品質データが偽装された可能性がある製品は20.3%に当たる約2.7億個(約68億円相当)。出荷先の顧客数は航空・宇宙分野の70社など計229社に上る。
三菱電線が社内調査を開始したのは、2016年12月。その結果、箕島製作所(和歌山県有田市)でシール材の寸法と材料物性の測定値を、顧客の指定した規格と三菱電線の社内仕様の規格とに収まるよう書き換えていたことが判明。2017年3月に経営陣に報告した。同年5月から社内の対策チームが事実関係を確認し、データを偽装した製品の特定や安全性確保の検討を進めていた。